国際情報

武漢でコロナ封じ込め辣腕奮った公安省次官 突如失脚の背景

功労者が謎の失脚

 中国共産党当局が4月中旬、中国公安省の孫力軍次官を「重大な規律違反と違法行為の疑い」で身柄を拘束して調査していることが明らかになった。孫氏は1月下旬から身柄を拘束されるまでの約3か月間、新型コロナウイルスの発生源とされる湖北省武漢市に派遣され、警察官僚のトップとして、感染抑止の指揮を執るとともに、市内の治安維持を陣頭指揮した“功労者”といえる。しかし、孫氏は習近平閥の“太子党”と対立する“上海閥”の一員であることが判明したことで、両派の権力闘争の生贄になったとみられる。

 孫氏は1969年1月、山東省青島市で生まれの51歳で、公安省で6人いる次官のなかでも、最も重要な国内の治安維持を担当する「公安省第1局」の責任者であるばかりでなく、公共衛生管理学の専門家でもある。

 30代の若い時期に世界保健機関(WHO)の奨学金を得て、オーストラリアのサウスウェールズ大学に留学し、修士課程を修了し学位を取得していることもあって、孫春蘭副首相とともに、武漢に派遣され、医学の専門知識を活かしてきた。

 その一方で、武漢で行われた警察官などの共産党入党式に参加したり、警察官の社会治安維持の任務を指揮するなど、警察官僚としての活動も積極的に務めており、孫春蘭副首相の覚えもめでたかったという。

 このため、孫力軍氏にとってみれば、今回の武漢での働きで、北京に戻れば、出世間違いなしと思っていた矢先に公安省本部から「帰朝命令」が出たことで、期待に胸を弾ませての北京入りだったことは想像に難くない。ところが、孫氏を待っていたのは「裏切者」「党内のがん」などの罵声だった。

関連記事

トピックス

東京都慰霊堂を初めて訪問された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年10月23日、撮影/JMPA)
《母娘の追悼ファッション》皇后雅子さまは“縦ライン”を意識したコーデ、愛子さまは丸みのあるアイテムでフェミニンに
NEWSポストセブン
2023年に結婚を発表したきゃりーぱみゅぱみゅと葉山奨之
「傍聴席にピンク髪に“だる着”姿で現れて…」きゃりーぱみゅぱみゅ(32)が法廷で見せていた“ファッションモンスター”としての気遣い
NEWSポストセブン
渡邊渚さんの最新インタビュー
渡邊渚さんが綴る「PTSDになった後に気づいたワーク・ライフ・バランスの大切さ」「トップの人間が価値観を他者に押しつけないで…」
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKI(右/インスタグラムより)
《趣里が待つ自宅に帰れない…》三山凌輝が「ネトフリ」出演で超大物らと長期ロケ「なぜこんなにいい役を?」の声も温かい眼差しで見守る水谷豊
NEWSポストセブン
ルーヴル美術館での世紀の強奪事件は瞬く間に世界を駆け巡った(Facebook、HPより)
《顔を隠した窃盗団4人組》ルーブル美術館から総額155億円を盗んだ“緊迫の4分間”と路上に転がっていた“1354個のダイヤ輝く王冠”、地元紙は「アルセーヌ・ルパンに触発されたのだろう」
NEWSポストセブン
活動休止状態が続いている米倉涼子
《自己肯定感が低いタイプ》米倉涼子、周囲が案じていた“イメージと異なる素顔”…「自分を追い込みすぎてしまう」
NEWSポストセブン
松田聖子のモノマネ第一人者・Seiko
《ステージ4の大腸がんで余命3か月宣告》松田聖子のものまねタレント・Seikoが明かした“がん治療の苦しみ”と“生きる希望” 感激した本家からの「言葉」
NEWSポストセブン
“ムッシュ”こと坂井宏行さんにインタビュー(時事通信フォト)
《僕が店を辞めたいわけじゃない》『料理の鉄人』フレンチの坂井宏行が明かした人気レストラン「ラ・ロシェル南青山」の閉店理由、12月末に26年の歴史に幕
NEWSポストセブン
森下千里衆院議員(共同通信社)
《四つん這いで腰を反らす女豹ポーズに定評》元グラドル・森下千里氏「政治家になりたいなんて聞いたことがない」実親も驚いた大胆転身エピソード【初の政務三役就任】
NEWSポストセブン
ナイフで切りつけられて亡くなったウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(Instagramより)
《19年ぶりに“死刑復活”の兆し》「突然ナイフを取り出し、背後から喉元を複数回刺した」米・戦火から逃れたウクライナ女性(23)刺殺事件、トランプ大統領が極刑求める
NEWSポストセブン
『酒のツマミになる話』に出演する大悟(時事通信フォト)
『酒のツマミになる話』が急遽差し替え、千鳥・大悟の“ハロウィンコスプレ”にフジ幹部が「局の事情を鑑みて…」《放送直前に混乱》
NEWSポストセブン
『週刊文春』によって密会が報じられた、バレーボール男子日本代表・高橋藍と人気セクシー女優・河北彩伽(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
「近いところから話が漏れたんじゃ…」バレー男子・高橋藍「本命交際」報道で本人が気にする“ほかの女性”との密会写真
NEWSポストセブン