中国政府系メディア「人民公安報」によると、中国公安省は3月27日、会議を開き、孫力軍氏を拘束したうえで、習近平氏の側近とされる王小洪・省筆頭次官が「周永康、孟宏偉、孫力軍らが残した弊害を取り除くべきだ」と主張した。孫力軍氏が、「反腐敗キャンペーン」で失脚した周永康・元党中央政法委員会書記や孟宏偉・元公安省次官(元ICPO長官)に並ぶほどの「大トラ」であると指摘した。
台湾紙『聯合報』によると、孫力軍氏は、共産党中央政治局委員で党中央政法委員会書記を務めた孟建柱氏と深いつながりがある。孟氏は江沢民元主席に近い“上海閥”の一員であり、習近平閥と対立していた。
孟氏が2007年、公安省のトップにつくと、孫力軍氏は同省弁公庁副主任に昇任し、孟氏の秘書を務めるなど、孫氏は公安省で着々と昇進したことから、習氏側から見ると、孫力軍氏はかつての「大トラ」として叩き落した周永康元党政治局常務委員に連なる危険人物と映っていたのに違いない。
孫力軍氏の身柄拘束後、習氏に近い王次官は兼任していた北京市公安局長と北京市副市長を離れ、習氏ら党・政府の最高幹部を警護する公安省第8局、いわゆる「特勤局」と呼ばれ、中国版シークレットサービスの最高責任者である同省党委員会書記兼局長に任命されたという。このポストは次期公安省トップの布石とみられる。