休業中のホテル客室の窓明かりでつくった「HOPE」の文字(城山ホテル鹿児島/時事通信フォト)

休業中のホテル客室の窓明かりでつくった「HOPE」の文字(城山ホテル鹿児島/時事通信フォト)

 それぞれの宿泊事業者に様々なスタンスはあるようだが、筆者は実際の温泉地の状況、エリアとしての自助努力について、リモート取材を試みてみた。

 もちろん、都市型ホテル等の状況もかなり悲観的なものであるが、少ないながらも需要(ビジネスやコロナ対応の施設として)はあった。他方、不要不急の外出自粛ということでいえば、観光地の施設は輪をかけて深刻だ。ゴールデンウィークの休業以前に、すでに廃業を決めたという声もあちこちから聞こえていた。

 東京からのゲストも多く訪れる長野県千曲市にある「戸倉上山田温泉」。善光寺詣りの精進落としの湯として親しまれた開湯120年を超える名湯だ。とある宿の関係者は、4月中旬までは何とか通常営業をしていたが、4月16日に長野県知事から「県外の方も不要不急の本県への帰省や旅行を絶対にしない」というメッセージが出されたことから、4月19日以降の営業自粛を決断したと話す。

 温泉街の飲食店も同様だ。テイクアウトだけ行い店内での飲食は提供しない店もあり、「夜になるとさながらゴーストタウン」だという。組合の要請もあり同地の旅館はすべて休業してきたというが、一部の宿では弁当のテイクアウトを始めたり、5月7日からの営業再開など今後の対策を検討する前向きな動きも見られるようになったという。

「信州 戸倉上山田温泉 荻原館」では、「予約をいただきつつ、当館からキャンセルをお願いしたお客様へ後日使える宿泊割引券を送付しました」と話す。「東京をはじめ遠方のお客様がお越しになるのはハードルが高いでしょうから、まずは県内のお得意様にダイレクトメールを出して、1日2~3組限定のプランを試してみようかと検討中です」という。地元でも愛される旅館ならではの取り組みといえる。

 長野県ではホテル・旅館への休業要請をはじめ、様々な業種に休業要請や休業検討依頼を行うことが決められた。その代わり、協力金や支援金を支給されるケースが増えていることは他の自治体も含めて大きく報道されている。

 一方で、ある旅館の経営者は、「政策金融公庫に申し込んだ融資も立て込んでいるせいか未入金です。固定費の支払いや納税時期と重なり非常に厳しい状況です」と、制度と現状の齟齬について惨状を訴える声もあった。

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