ビジネス

コロナ後のマンション 「分譲より賃貸」価値観変容が加速か

多額の住宅ローン返済に窮するタワマン族も?(時事通信フォト)

多額の住宅ローン返済に窮するタワマン族も?(時事通信フォト)

 コロナ後の不況や収入減で最も懸念されているのが、住宅ローンを返済できずにマンションなどのマイホームを手放さざるを得ない人が続出するのではないかという問題だ。すでに住宅金融支援機構には4月以降ローン返済に関する相談が急増しているという。特にこれまで高値で推移してきた首都圏のマンション市場は今後どうなってしまうのか。住宅ジャーナリストの榊淳司氏が今後の動向を予想する。

 * * *
 一寸先は闇……これは政界に限ったことではない。私たちの生きる世は、得てしてそういうものだと考えるべきだろう。

 振り返れば、過去にはこれまで我々が辿ったレールが確かに敷かれている。未来はその延長線上にあるものだと人々は考えがちだが、実際はそうでないことも多い。今回のコロナ禍は、地球規模でそのことをまざまざと感じさせてくれた。未来のことは、誰にも分からないのだ。

 ただ、私たちの住む日本は世界でもかなり安定した社会を築いてきた。物価が大きく変動することはなく、景気が悪くなっても数年で回復軌道に乗り、ここ数年は大変な人手不足で失業率は歴史的な低水準だった。これほど安定感のある社会は、他の先進国を見渡してもそうそうない。

 だからかどうか、この国では「35年返済の住宅ローン」という、冷静に考えれば何ともリアリティのない一般人向けの借金システムが一般化していた。年収の7倍くらいまでの大金を借りて住宅を購入し、それを35年かけて返済するというシステムである。

 首都圏で販売される多くの新築マンションの購入には、このシステムが利用されている。中には一人で借り入れるだけでは足りないので、夫婦で35年返済ローンを借り入れて購入されているマンションもある。こういったやり方は「ペアローン」と呼ばれる。湾岸のタワーマンション購入者に多く見られる購入パターンだという。もちろん、登記上の所有者も持ち分に合わせた共有となるケースが多い。

 ただ、心配なこともある。統計数字から予測すると、新たに結婚するカップルのうち、3組に1組は離婚するらしい。ということは、マンション購入のために組まれたペアローンの3分の1は将来のいつかに複雑な処理を必要とする事態に陥る──ということだろうか。

関連キーワード

関連記事

トピックス

小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン