芸能

金井克子が振り返る『他人の関係』ヒット 振り付けの秘密

昨年、デビュー60周年ライブを行った金井克子

 その時代、時代の忘れられないヒット曲がある。由美かおるらと共に西野バレエ団五人娘と呼ばれ人気を集めた金井克子の『他人の関係』(1973年)は、その独特の振り付けとともに、人々の心に強く印象に残っている。自身のシングルで唯一オリコントップ10入りを果たしたこのヒット曲について、金井自身が振り返る。

 * * *
 1962年にレコードデビューし、もともとバレリーナなので「歌うバレリーナ」と呼ばれました。でも歌手活動はもう大変。当時は演歌歌手でなくても地方キャンペーンが多く、レコード店の前でミカン箱に乗って歌い、レコードを売ってから有線放送に挨拶に行き、曲をかけてもらう。この繰り返し。思うようにバレエが踊れず、しかも歌はヒットしないでしょ。それが10年続き、心のバランスを崩して円形脱毛症になったくらいなの。踊りに専念したくてニューヨークに行き、向こうのバレエカンパニーで練習させてもらったりしました。

 でも歌も忘れられず、これが最後と思って出したのが『他人の関係』。歌詞があまりにエロいので無表情で抑揚なく歌い、後に「指先確認」と呼ばれた人工的な振り付けにしました。当時CAさんが非常口を指で示すと、お客さんが「パッパッパヤッパ」と『他人の関係』のスキャット部分を歌い出したそうです(笑い)。

 間もなく75歳を迎える今に至るまで歌と踊りを続け、『他人の関係』はステージで必ず歌います。お客様にも盛り上がっていただけます。この曲のおかげで私も人生をエンジョイさせてもらっていますよ。

 恋人同士が毎回他人になったつもりで愛し合うという詞で、最後の〈私何度でも きっと引きもどす/もどしてみせる〉というフレーズに女の強さを感じます。熟年夫婦の皆さんも『他人の関係』にならえば新鮮な刺激を得られるんじゃないでしょうか(笑い)。

「指先確認」と呼ばれた振り付けの秘密とは

●かない・かつこ/1945年、中国天津生まれ。昨年秋、芸能界デビュー60周年単独ライブを大阪、東京で行なった。また中尾ミエ、前田美波里らとレビュー『カーテンコールをもう一度!』を続けている。

※週刊ポスト2020年6月12・19日号

関連記事

トピックス

トランプ米大統領と高市早苗首相(写真・左/Getty Images、右/時事通信フォト)
《トランプ大統領への仕草に賛否》高市首相、「媚びている」「恥ずかしい」と批判される米軍基地での“飛び跳ね” どう振る舞えば批判されなかったのか?臨床心理士が分析
NEWSポストセブン
真美子さんが完走した「母としてのシーズン」
《真美子さんの献身》「愛車で大谷翔平を送迎」奥様会でもお酒を断り…愛娘の子育てと夫のサポートを完遂した「母としての配慮」
NEWSポストセブン
アメリカ・オハイオ州のクリーブランドで5歳の少女が意識不明の状態で発見された(被害者の母親のFacebook /オハイオ州の街並みはサンプルです)
【全米が震撼】「髪の毛を抜かれ、口や陰部に棒を突っ込まれた」5歳の少女の母親が訴えた9歳と10歳の加害者による残虐な犯行、少年司法に対しオンライン署名が広がる
NEWSポストセブン
新恋人A氏と交際していることがわかった安達祐実
《新恋人発覚の安達祐実》沈黙の元夫・井戸田潤、現妻と「19歳娘」で3ショット…卒業式にも参加する“これからの家族の距離感”
NEWSポストセブン
キム・カーダシアン(45)(時事通信フォト)
《カニエ・ウェストの元妻の下着ブランド》直毛、縮れ毛など12種類…“ヘア付きTバックショーツ”を発売し即完売 日本円にして6300円
NEWSポストセブン
2025年10月23日、盛岡市中心部にあらわれたクマ(岩手日報/共同通信イメージズ)
《千島列島の“白いヒグマ”に見える「熊の特異な生態」》「冬眠」と「交雑繁殖」で寒冷地にも急激な温暖化にも対応済み
NEWSポストセブン
中村雅俊が松田優作との思い出などを振り返る(撮影/塩原 洋)
《中村雅俊が語る“俺たちの時代”》松田優作との共演を振り返る「よく説教され、ライブに来ては『おまえ歌をやめろよ』と言われた」
週刊ポスト
レフェリー時代の笹崎さん(共同通信社)
《人喰いグマの襲撃》犠牲となった元プロレスレフェリーの無念 襲ったクマの胃袋には「植物性のものはひとつもなく、人間を食べていたことが確認された」  
女性セブン
大谷と真美子夫人の出勤ルーティンとは
《真美子さんとの出勤ルーティン》大谷翔平が「10万円前後のセレブ向けベビーカー」を押して球場入りする理由【愛娘とともにリラックス】
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(秋田県上小阿仁村の住居で発見されたクマのおぞましい足跡「全自動さじなげ委員会」提供/PIXTA)
「飼い犬もズタズタに」「車に爪あとがベタベタと…」空腹グマがまたも殺人、遺体から浮かび上がった“激しい殺意”と数日前の“事故の前兆”《岩手県・クマ被害》
NEWSポストセブン
「秋の園遊会」でペールブルーを選ばれた皇后雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA)
《洋装スタイルで魅せた》皇后雅子さま、秋の園遊会でペールブルーのセットアップをお召しに 寒色でもくすみカラーで秋らしさを感じさせるコーデ
NEWSポストセブン
チャリティーバザーを訪問された秋篠宮家・次女の佳子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA)
《4年会えていない姉への思いも?》佳子さま、8年前に小室眞子さんが着用した“お下がり”ワンピで登場 民族衣装のようなデザインにパールをプラスしてエレガントに
NEWSポストセブン