ビジネス

百貨店の静かな「夏セール」 大々的に告知できないジレンマ

夏のセールは例年より前倒しで始まってはいるが…(イメージ)

夏のセールは例年より前倒しで始まってはいるが…(イメージ)

 例年ならお得意様への優待を皮切りに6月から始まる百貨店や商業施設の「夏セール」。しかし、今年は新型コロナの影響で大々的に宣伝できない状況となっている。休業期間中に積み上がった在庫を一掃したいアパレル業界の苦境は続く。ファッションジャーナリストの南充浩氏が、異例づくしの今年の夏セールをレポートする。

 * * *
 新型コロナの感染者数が徐々に減少したことで非常事態宣言が解除され、全国的にビジネス活動が再開されています。これによって都心の百貨店やファッションビル、郊外の大型ショッピングモールも営業再開となりました。

 しかし、洋服が売れやすい3月に商業施設のほとんどが営業短縮や週末休業に追い込まれ、4月はほぼ全面休業となり、5月も休業が続きました。そのため、春物の消化がまったく進んでいないのが現状です。

 アパレル業や流通業は消化が進まなかった洋服を1枚でも多く売るため、本来は一刻も早く集客施策を採りたいところですが、新型コロナ感染防止のためにやりにくいというジレンマに陥っているのです。

 百貨店などに出店・納品しているアパレルも、本当は6月から「処分セール」と銘打った夏物のセールを告知し、集客したいところですが、新型コロナの特効薬もワクチンもいまだに開発されていない中、感染防止の観点から「密」を避けることを考えると例年通りのセールはやりにくい状況にあります。休業を免れていた食品スーパーでさえ、4月以降、混雑を避けるため「大売り出しのチラシ」を配布することを取りやめています。

 ただ、営業再開した商業施設をいくつか見て回ると、すでにほとんどのテナントで「割引セール」は行われています。

 大々的な告知こそしていませんが、6月頭の段階でほとんどの店が10~30%オフのセールを開催しており、50%オフも珍しくありません。中にはすでに「70%オフ」を打ち出しているショップもあります。いかに春物と一部の夏物を売り切りたいかが透けて見えます。

 しかし、セール目当てに客が殺到してしまうと再びコロナ感染のリスクが高まるため、各施設は一斉のセールや告知は取りやめ、テナントごとに期間をずらしてセールを行うなどの対策を打っています。

関連キーワード

関連記事

トピックス

谷本容疑者の勤務先の社長(右・共同通信)
「面接で『(前科は)ありません』と……」「“虚偽の履歴書”だった」谷本将志容疑者の勤務先社長の怒り「夏季休暇後に連絡が取れなくなっていた」【神戸・24歳女性刺殺事件】
NEWSポストセブン
(写真/共同通信)
《神戸マンション刺殺》逮捕の“金髪メッシュ男”の危なすぎる正体、大手損害保険会社員・片山恵さん(24)の親族は「見当がまったくつかない」
NEWSポストセブン
列車の冷房送風口下は取り合い(写真提供/イメージマート)
《クーラーの温度設定で意見が真っ二つ》電車内で「寒暖差で体調崩すので弱冷房車」派がいる一方で、”送風口下の取り合い”を続ける汗かき男性は「なぜ”強冷房車”がないのか」と求める
NEWSポストセブン
アメリカの女子プロテニス、サーシャ・ヴィッカリー選手(時事通信フォト)
《大坂なおみとも対戦》米・現役女子プロテニス選手、成人向けSNSで過激コンテンツを販売して海外メディアが騒然…「今まで稼いだ中で一番楽に稼げるお金」
NEWSポストセブン
ジャスティン・ビーバーの“なりすまし”が高級クラブでジャックし出禁となった(X/Instagramより)
《あまりのそっくりぶりに永久出禁》ジャスティン・ビーバー(31)の“なりすまし”が高級クラブを4分27秒ジャックの顛末
NEWSポストセブン
愛用するサメリュック
《『ドッキリGP』で7か国語を披露》“ピュアすぎる”と話題の元フィギュア日本代表・高橋成美の過酷すぎる育成時代「ハードな筋トレで身長は低いまま、生理も26歳までこず」
NEWSポストセブン
「舌出し失神KO勝ち」から42年後の真実(撮影=木村盛綱/AFLO)
【追悼ハルク・ホーガン】無名のミュージシャンが「プロレスラーになりたい」と長州力を訪問 最大の転機となったアントニオ猪木との出会い
週刊ポスト
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘に関する訴訟があった(共同通信)
「オオタニは代理人を盾に…」黒塗りの訴状に記された“大谷翔平ビジネスのリアル”…ハワイ25億円別荘の訴訟騒動、前々からあった“不吉な予兆”
NEWSポストセブン
話題を集めた佳子さま着用の水玉ワンピース(写真/共同通信社)
《夏らしくてとても爽やかとSNSで絶賛》佳子さま“何年も同じ水玉ワンピースを着回し”で体現する「皇室の伝統的な精神」
週刊ポスト
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
《駆除個体は名物熊“岩尾別の母さん”》地元で評判の「大人しいクマ」が人を襲ったワケ「現場は“アリの巣が沢山出来る”ヒヤリハット地点だった」【羅臼岳ヒグマ死亡事故】
NEWSポストセブン
真美子さんが信頼を寄せる大谷翔平の代理人・ネズ・バレロ氏(時事通信)
《“訴訟でモヤモヤ”の真美子さん》スゴ腕代理人・バレロ氏に寄せる“全幅の信頼”「スイートルームにも家族で同伴」【大谷翔平のハワイ別荘訴訟騒動】
NEWSポストセブン