親も親戚も医者という家系に育つ
「それは医者のする仕事じゃない」。拭えない違和感が導いた新たな道
「幸い、宮城県の実家や地元の友人たちには被害はなかったのですが、どんなに健康な人でも、いつ死ぬかわからない。それがリアルにわかった。じゃあ、どうしたいのかと真剣に自分と向き合いました。
私は14才で月経がこなくなってから、ずっと薬をのみ続け、それでは体は治らないということを身にしみてわかっていた。だからこそ、学生時代からずっと“薬を使わない治療をしたい”と考えていました。
医局に入って3年目。このまま大学院に行くのか、違う道を選ぶのか、教授から進路の決断を迫られていた時期でもありました。そこで教授に『私のやりたいことは、薬で治療をするのではなく、薬を減らし、食べ物で人を健康にすることです』と伝えたところ、『それは医者の仕事ではない』と言われたんです。
そこで、『あ、私がやりたいことは医者の仕事ではないんだ』と、気持ちがクリアになったんです」
医局を離れた関さんは、糖尿病専門クリニックに就職する。
そこでの診察を通して、患者一人ひとりに「食べたもの」と「症状」についての徹底的な聞き取り調査を行った。そして見えてきたのが、「病気の原因は食にある」ということだった。
「食べ物の偏りによって腸内環境が悪化すると、栄養のバランスが崩れ、便秘や下痢を起こし、大腸がんのリスクも高まる上、認知症やうつ病の引き金にもなり得ます。医学部時代に、医者になるか料理人になるか本気で迷っていたくらいだったので、『じゃあ、医師としてのキャリアは一度中断して、料理人になるための勉強をしよう!』と一念発起して、ニューヨークに行くことにしたんです。震災から2年後、2013年のことでした」