「結局、絶対的な『正義』なんてものはない。その時々の感情に応じて、個々人が『正義』か『不正義』かをジャッジしている“一億総裁判官”“一億総閻魔大王”みたいな状態になっています。木村さんの件では『あんなに同居人を責めないでもいいのに!』と思った人たちが、木村さんを攻撃した。
渡部の件では、『不倫はいけない!』と考えた人が渡部を攻撃した。その時々の『正義』により、叩く対象は変わってくるわけです。どちらがより悪らかは、個々人の判断に委ねられている。
つまるところ、そこにはロジックなんてないんです。だから、基本的には『誹謗中傷は良くない』ということを認識しつつも、自分の中の正義感次第で『これはしても良い誹謗中傷』というルールを作ってしまっている」
だからこそネット上ではダブルスタンダードが指摘されるわけだが、中川氏は、そのツッコミを受けた際、ロジカルに反論するのは難しいと述べる。
「それぞれが勝手に作った『正しい誹謗中傷像』が、万人が納得するものであるわけがない。だとしたら、何か言いたいときの作法としてあり得るのは、『私は許せない』『私はイヤだ』など、あくまでも自分の感情を出すことだけではないでしょうか」
結局「正しい誹謗中傷」は、個々の「独自ルール」によって作られているということ。「正しさ」を議論するのは不毛ということかもしれない。