国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんが続ける。
「新型コロナの抗体が減少する理由はよくわかっていません。ただ、同じRNAウイルスであるインフルエンザの場合も同様に減少します。また、感染者の年齢によって、抗体の下がり具合は異なるようです。
今回の研究結果の通りに抗体が減少するなら、再感染のリスクが高いことになります。特に若年者の抗体が消えやすいとされるので、若者の再感染に対し警戒が必要です。無症状の若者がウイルスを蔓延させる危険性があります」
感染が広がる中で、注目されてきたのが「集団免疫」という考え方である。
それは、免疫を持つ人が一定の割合に達すると感染拡大に歯止めがかかるというものだ。ただ、収束のためには、全体の60%程度の人が免疫を持つ必要があるとされ、短期間では難しいのが実情である。
「スウェーデンでは、都市封鎖や経済活動の制限を行わず、集団免疫戦略をとり続けてきました。そのため多くの感染者が出ましたが、それでも6月時点での抗体保有率はわずか6%前後にすぎません。
そもそも、今回の中国の研究結果を見れば抗体は数か月で消える可能性があるので、スウェーデンの取り組みは“労多くして功少なし”だったかもしれません」(前出・一石さん)
独自路線を歩むスウェーデンは世界中からの注目を集めてきたが、結果的には感染率、死亡率ともにアメリカと並び、世界最悪レベル。集団免疫戦略が失敗の様相を呈している理由は、「抗体の消滅」にあるのかもしれない。
※女性セブン2020年7月16日号