◆コロナが怖いんじゃない。店の名前が公表されるのがおっかない
6月24日に発表された北海道小樽市のスナックのクラスターだろう。経営者含めて8人が感染、その家族も感染した。このクラスターでは死者も出ている。
「別にコロナが怖いんじゃないわよ。お店の名前が公表されたでしょ、あれがおっかないのよ」
東京や大阪などの大都市では現状非公表だが、地方のキャバクラやスナックは容赦なく公表されている。もちろん店舗の了承を得たというエクスキューズが付いてはいるが。
「絶対嫌よ。だって店ができないどころかここに住めなくなっちゃうもの。ただでさえコロナで肩身が狭いのに」
ママはこの近くの持ち家に家族と住んでいる。もしそんなことになったらママの言う通り、間違いなく住めなくなってしまうだろう。
「家族にも迷惑かけてるわ。この辺じゃスナックくらいで水商売呼ばわりはされないけど、これだけコロナで悪評立っちゃね、いままで飲みに来てた人だって手のひら返すのも無理ないわ。寂しい話だけどね」
所詮は田舎、地方都市の世間は狭い。実際、自粛期間中も嫌がらせの張り紙こそなかったが「内緒でやってるんだろ」「歌が聞こえたが営業してるのか」などの疑いをかけられたという。
「悔しいからドア全開にしてやったわ、お客もいなけりゃなにもしてません、さあどうぞ御覧なさいって」
気の強いママらしいアピールだ。
「市の担当者も来たわ。もちろん私は休んでたから何も言われなかったけど、そんなかっこよく協力したわけじゃないわ。お客が来ないから休んだだけだもん。お客が来るならやってたかも、ううん、やってたわ」
悲しい話だが、客が来なければやってる意味はないから自粛したという店も多かった。だからコロナでも気にせず繁盛した居酒屋やパチンコ店などの一部が営業を強行したことは記憶に新しい。実際、私もそういったある意味幸せ(?)な居酒屋もパチンコ店も取材した。固定客さえ来れば自粛「要請」でしかないわけだから、営業したほうが儲かるならそちらを取るのも自明の理である。