「9年間、一度も野村監督に褒められた記憶はありません。炎天下の中、立たされながら2時間近くお説教を受けて、その日の練習ができなかったこともありました。『なんで、あの場面でストレートを放ったんや』などと聞かれ、必ず根拠を求められました。ずっと『なぜか』を問われ続ける日々で、すごく厳しかった。それでも、もう1回ノムさんの元で野球をしたい、ノムさんの言葉に騙されてみたいと思えるんです。変化することは誰でも怖いし、躊躇してしまう。でも、勇気を持って変われば、奇跡を起こせるのだと野村監督から学びました」
(文中敬称略)
■取材・文/岡野誠
【川崎憲次郎プロフィール】1988年、ドラフト1位でヤクルト入団。1993年、西武との日本シリーズでMVPに輝く。1998年、最多勝と沢村賞を獲得。新刊『もう一度、ノムさんに騙されてみたい』(青志社)発売中。7月6日月曜19時から配信イベント『もう一度、ノムさんに騙されてみたい~野村克也監督とヤクルト黄金時代』を開催。詳細は下北沢本屋B&Bホームページで。