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2020.07.12 07:00  NEWSポストセブン

インドのコロナ深刻化は「民主主義の弱点」 池上彰氏の分析

インドの発展を池上氏はどう考える

 新型コロナウイルスの感染拡大で、世界の景色はすっかり変わった。国により感染者数や死亡者の数にも大きな違いが出ているなかで、ジャーナリストの池上彰氏は「こういう時こそ、その国の民主主義の度合いや日頃の医療体制の優劣がはっきり出てきます」と指摘する。

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 新型コロナウイルスについて、独裁的な力で都市を封鎖して感染者数を抑え込む中国のような国もあれば、対策が遅れ、貧富の格差から人種によって死亡率に差が出たアメリカのような国もあります。

 中国に関していえば、感染拡大を防ぐためには国民の行動にある程度の規制をかける必要性は理解できても、武漢という、人口規模で東京都に匹敵する大都市をいきなり封鎖してしまうという手法には嫌悪感を抱く人も多いことでしょう。

 その中国と何かにつけて比較されるのがインドです。私が6月30日に上梓した『池上彰の世界の見方 インド』で詳述していますが、13億人をはるかに超える人口を抱えたインドは、人口増加率を見ると10年以内に中国を追い抜く勢いです。しかし、感染防止の観点からいうと、中国より立ち遅れ、感染者数は爆発的に増えてしまいました。

 インドは「世界最大の民主主義国」と言われます。しかしそれゆえに中国のような強権的な手法はとれませんでした。今、感染拡大対策が後手に回ったのではないかと批判されています。これは民主主義の弱点かも知れません。だからといって中国を見習え、とはならないでしょう。民主主義とは何か。考え込んだ人もいるのではないでしょうか。

 それと共に明らかになったのは、インドの貧富の差です。今回は、人口が密集しているスラム街で感染者が拡大しています。衛生状態も、けっして良好とはいえないインドの弱点が露呈しました。

 インドでは家にトイレがなかったり、学校に女子トイレがなかったりという状態が続いてきました。2015年にユニセフが行った調査では、13億を優に超えるインドの人口のうち、5億人以上が田畑など野外で用を足していました。そこでインドのモディ政権は2014年に「野外排せつゼロ宣言」を行って5年がかりでトイレの設置を進めます。2019年にはトイレ普及運動の達成を宣言しました。ただ、一定の成果はもちろんあったと思いますが、専門家からは、まだ数百万人単位の人々がトイレなしで生活していることや、古くからの習慣のせいで新しく設置されたトイレが使用されていないことなどが指摘されています。こういう背景もコロナウイルス感染拡大の一因になったと思われます。

 インドといえば「カースト制度」を思い浮かべる方もいるでしょう。カースト制度についての詳しい内容は、前出の『池上彰の世界の見方 インド』を読んでいただくとして、実はカースト制度は感染症と関係があるという説があることを、知りました。

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