スポーツ

新潟の直線重賞アイビスSD 外枠が人気の要因なら要注意だ

馬番は予想を左右する重要な要素だが

 予想の精度を保ちながら勝ち組へと歩を進めるには、思い込みにとらわれないことも重要だ。競馬ライターの東田和美氏が新潟夏の名物重賞について考察した。

 * * *
 今週から「夏の新潟」が始まるが、例年同じ時期に開催される「夏の小倉」は8月15日からの開催となり、今週から3週は新潟と札幌の2場のみとなる。これは五輪の馬術競技に馬運車や獣医師が必要になると見込まれたための措置だったが、延期決定後も変更されることはなかった。

 一方マラソンは札幌で行なわれる予定だったため、この時期は函館開催が組まれていたが、こちらは延期に伴って例年通りの順序になった。しかも猛暑対策の意味もあるということで、札幌と新潟開催が昨年より1週多くなっている。

 その結果、「夏競馬」はどうなるか。

 北海道滞在以外の関西馬は、前半は出馬ラッシュを覚悟で新潟を目指さざる得なくなった。3歳未勝利戦はこの開催までなので死活問題。もちろん関東馬も同様だが、勝負はむしろ小倉が始まって、有力関西馬が西下してからになるか。小倉へ向かう関西馬は近年通いのことも多かったが、4週だけなので未勝利で優先出走権がとれたら、滞在して中1週で使うといったこともあるだろう。そういうあれこれを頭に入れ、たとえば競馬新聞では除外経歴などもチェックして、使う側の意図を推理することが重要になってくる。

 さて開幕週の新潟メインはGⅢアイビスサマーダッシュ(以後アイビスSD)。直線競馬はスタートと同時に各馬が馬場のいいスタンド寄りを目指してくる。この重賞は今年で19回目だが1枠に入った馬が馬券圏内に入ったのは3着1頭のみ。2枠は9頭いるものの3枠も1頭(2着)だけだ。逆に8枠は7勝で3着以内に14頭、7枠も3勝で13頭。

 ここ1年で直線競馬は24レース行われているが、そこでもこの傾向は歴然。1〜3枠に入った馬は1勝のみで、3着以内に入ったのも2回か3回ずつ。逆に7枠は6勝17回、8枠は6勝22回だ。

 アイビスSDは第1回の2001年から2005年までは8月半ばに行われていたが、2006年からは開幕週2日目になっている(2012年のみ4日目)ので、ここからは2006年以降のデータを検証する。

 馬場のいい開幕週に行われてもなお外枠が有利だが、当初5年間のデータを差し引くと、8枠が5勝3着以内11回、7枠は2勝10回、そして2枠が2勝7回と、このレースに限っては枠による有利不利はかなり薄れてくる印象だ。アイビスSDの前日に行われる直線競馬の結果を見ても外枠が断然好成績でもない。最多は4枠の4勝で2、3枠は7、8枠と同じ2勝ずつなのだ。今年は前日が2歳未勝利戦で、しかもミルファームvs松永康厩舎”みたいで参考にしづらいが、いずれにしろ「枠」を基準に考えるのは、少々危険だ。

 とはいえ2006年以降のアイビスSDでも、1枠と3枠が馬券圏内に入ったのは2008年の1回だけ。2枠だけ2勝で3着以内が7回もあるのはなぜなのか。

 一つには2枠が勝った2回はフルゲートではなかった。2011年は15頭、2014年は12頭。そして勝った2枠の2頭はいずれも1番人気。アイビスSDは過去14回で1番人気馬が7勝しているどちらかといえば堅いレースだ。

 内枠に入ったことで人気を落とすこともあるわけで、枠順と人気はニワトリと卵だったりする。それでも1枠に入った25頭のうち、5番人気以内は2頭で二桁人気が20頭、同じく3枠には5番人気以内が4頭で二桁人気が15頭というのは少なすぎる。2枠には5番人気以内が9頭でそのうち6頭が3着以内に入っているのだ。内枠に入りながらなお人気を保ち続けた馬がその通り結果を出している。

関連キーワード

関連記事

トピックス

新恋人A氏と交際していることがわかった安達祐実
《新恋人発覚の安達祐実》沈黙の元夫・井戸田潤、現妻と「19歳娘」で3ショット…卒業式にも参加する“これからの家族の距離感”
NEWSポストセブン
キム・カーダシアン(45)(時事通信フォト)
《カニエ・ウェストの元妻の下着ブランド》直毛、縮れ毛など12種類…“ヘア付きTバックショーツ”を発売し即完売 日本円にして6300円
NEWSポストセブン
2025年10月23日、盛岡市中心部にあらわれたクマ(岩手日報/共同通信イメージズ)
《千島列島の“白いヒグマ”に見える「熊の特異な生態」》「冬眠」と「交雑繁殖」で寒冷地にも急激な温暖化にも対応済み
NEWSポストセブン
中村雅俊が松田優作との思い出などを振り返る(撮影/塩原 洋)
《中村雅俊が語る“俺たちの時代”》松田優作との共演を振り返る「よく説教され、ライブに来ては『おまえ歌をやめろよ』と言われた」
週刊ポスト
レフェリー時代の笹崎さん(共同通信社)
《人喰いグマの襲撃》犠牲となった元プロレスレフェリーの無念 襲ったクマの胃袋には「植物性のものはひとつもなく、人間を食べていたことが確認された」  
女性セブン
大谷と真美子夫人の出勤ルーティンとは
《真美子さんとの出勤ルーティン》大谷翔平が「10万円前後のセレブ向けベビーカー」を押して球場入りする理由【愛娘とともにリラックス】
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(秋田県上小阿仁村の住居で発見されたクマのおぞましい足跡「全自動さじなげ委員会」提供/PIXTA)
「飼い犬もズタズタに」「車に爪あとがベタベタと…」空腹グマがまたも殺人、遺体から浮かび上がった“激しい殺意”と数日前の“事故の前兆”《岩手県・クマ被害》
NEWSポストセブン
医師がおすすめ!ウイルスなどの感染症対策に大切なこととは…?(写真はイメージです)
感染予防の新常識は「のどを制するものが冬を制する」 風邪の季節に注意すべき“のど乾燥スパイラル”とは?
NEWSポストセブン
「秋の園遊会」でペールブルーを選ばれた皇后雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA)
《洋装スタイルで魅せた》皇后雅子さま、秋の園遊会でペールブルーのセットアップをお召しに 寒色でもくすみカラーで秋らしさを感じさせるコーデ
NEWSポストセブン
チャリティーバザーを訪問された秋篠宮家・次女の佳子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA)
《4年会えていない姉への思いも?》佳子さま、8年前に小室眞子さんが着用した“お下がり”ワンピで登場 民族衣装のようなデザインにパールをプラスしてエレガントに
NEWSポストセブン
佳子さまの“着帽なし”の装いが物議を醸している(写真/共同通信社)
「マナーとして大丈夫なのか」と心配の声も…佳子さま“脱帽ファッション”に込められた「姉の眞子さんから受け継ぐ」日本の伝統文化への思い
週刊ポスト
真美子さんが“奥様会”の写真に登場するたびに話題に(Instagram /時事通信フォト)
《ピチピチTシャツをデニムジャケットで覆って》大谷翔平の妻・真美子さん「奥様会」での活動を支える“元モデル先輩ママ” 横並びで笑顔を見せて
NEWSポストセブン