「連敗ストップと言っていいのかな」

 試合後、私は岡田監督の目をずっと見つめていた。もう充血しておらず、澄んだように優しい目をしていた。改めて、連敗記録について「本当に気にしていなかったのか」と訊ねた。

「ハハハハ。私自身は本当に気にしていないんです。今年は独自大会ですから、記録ストップと言っていいのかはわかりませんが、今年ぐらい勝っておかないと、とうぶん勝てんでしょう(笑)。大阪桐蔭さんは、毎年素晴らしいチームを作ってくるし、今年の2年生にも素晴らしいピッチャーがたくさんいますから」

 大阪大会は雨でスケジュールが順延となった結果、この準決勝で打ち切りが決まっていた。

「大阪の最後の試合で、大阪桐蔭とやるのも何かの巡り合わせでしょうね。履正社にとって、大阪桐蔭を倒さなければ夏の甲子園はない。そう思って、子供らは野球に取り組んでいます」

 元阪神の関本堅太郎氏を父に持つ主将の関本勇輔は、「入学した時から、チーム全体の共通意識として、夏の大阪大会で大阪桐蔭に勝つことを目標にしてきました」と振り返った。

 2年前の試合にも出場していたプロ注目のスラッガー、小深田大地もこう話す。

「あの試合で、アウトひとつの大切さ、重さを学ばせてもらいました。大阪桐蔭との試合はいつも独特の雰囲気になる。今日もそうだったし、最後、ゲームセットになるまでしんどかったです」

 履正社のナインは、8月15日の交流試合で昨春の選抜1回戦で敗れ、昨夏の甲子園決勝では勝利した星稜(石川)と“3季連続”で対戦する。

 長年の悪しきジンクスを振り払ったことで、岡田監督と、履正社野球部の新たな歴史がスタートした。

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