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11連敗中の大阪桐蔭に勝利 履正社監督の「20年越しの思い」

今年の甲子園は異質な“大会”となった(写真は昨年の優勝時。時事通信フォト)

今年の甲子園は異質な“大会”となった(写真は昨年の優勝時。時事通信フォト)

 例年とは全く違うかたちとなった“夏の甲子園”が幕を開けた8月10日。この日、いちばんの「真剣勝負」は甲子園の交流試合ではなく、大阪高野連による独自大会だったかもしれない。準決勝のカードは、昨夏の王者・履正社と一昨年に春夏連覇を達成した大阪桐蔭――そこには20年以上にわたるライバル対決のドラマがあった。ノンフィクションライター・柳川悠二氏がレポートする。

 * * *
 8月10日に開幕した甲子園交流試合は、当然ながら101回の歴史を紡いできた夏の全国高等学校選手権大会とは明らかに異質な大会である。

 大分商との開幕試合を制した埼玉・花咲徳栄の岩井隆監督は、無観客&アルプス応援禁止で行われた試合後、こんなコメントを漏らした。

「昨年11月以来の公式戦で、しかも甲子園でやらせてもらえるということで、もっと高揚するかなと思いましたが、淡々と試合が進んでいきました。練習試合とは言いませんが……やはりいつもの甲子園とは違います」

 春の選抜に出場予定だった32校に対する“救済”措置として開催される交流試合で、各校が戦うのは1試合だけだ。既に全都道府県で開催された独自大会で敗退したチームもあれば、花咲徳栄のようにこれから独自大会が始まるチームもあり、各校の置かれた状況は様々である。

 それゆえ、負けたら終わりの夏の緊迫感は、どうしても例年に比べれば欠けてしまう。だが、同日、甲子園から約12キロ離れた大阪シティ信用金庫スタジアムでは、いつもと変わらぬ夏があった。

 大阪桐蔭対履正社の大阪独自大会準決勝である。一昨年に春夏連覇を達成した大阪桐蔭と、昨夏の日本一である履正社。大阪の雌雄を決するだけなく、春も夏も甲子園が中止となるなかで、両校の戦力や近年の実績からして「事実上の今年の日本一決定戦」との見方さえできるだろう。

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