スポーツ

甲子園春夏連覇を達成した「琉球トルネード」10年間の苦悩

2010年、日米親善大会では先発登板もした(時事通信フォト)

2010年、日米親善大会では先発登板もした(時事通信フォト)

 2010年、沖縄・興南高校は史上6校目となる甲子園春夏連覇を成し遂げた。上半身を大きく捻る「琉球トルネード」と呼ばれたエース・島袋洋奨の快投は沖縄で連日大ニュースとなり、島は歓喜と興奮に包まれた。あれからちょうど10年──島袋の「その後」に何があったのかを知る人は少ない。『まかちょーけ 興南 春夏連覇のその後』(集英社文庫)を上梓した松永多佳倫氏がレポートする。

 * * *
 甲子園優勝投手が確実にプロで活躍できるという保証はどこにもないが、長いプロ野球の歴史を紐解くと、興味深い傾向が見えてくる。プロで活躍できた甲子園優勝投手のほとんどは高校卒業後すぐにプロ入りしているのだ。一方、大学を経由してプロに進んだ甲子園優勝投手は全部で13人いるが、「夏の優勝経験者」は5人。そのうち小川淳司(1975年習志野)と西田真二(1978年PL学園)は大学で打者に転向し、石田文樹(1984年取手二)は社会人野球を経由しているので、「夏の甲子園優勝投手で大学卒業後すぐにピッチャーとしてプロ入りした選手」は、斎藤佑樹(2006年早実)と島袋洋奨の2人だけとなる。

 島袋洋奨といえば、高校野球ファンなら覚えている名前であろう。今からちょうど10年前の2010年、史上6校目となる春夏連覇を達成した興南高校のエースとして甲子園のマウンドで躍動していた、あの島袋である。春夏連覇のエースといえば、松坂大輔(1998年横浜)や藤浪晋太郎(2012年大阪桐蔭)の印象が強いが、変則フォーム“琉球トルネード”から繰り出すボールの軌道、威力、コントロールなど、総合的に見ても松坂や藤浪に劣らぬ抜群の存在感だった。2010年にドラフトにかかっていれば上位指名は間違いなかった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
生徒のスマホ使用を注意しても……(写真提供/イメージマート)
《教員の性犯罪事件続発》過去に教員による盗撮事件あった高校で「教員への態度が明らかに変わった」 スマホ使用の注意に生徒から「先生、盗撮しないで」
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《ロマンス詐欺だけじゃない》減らない“セレブ詐欺”、ターゲットは独り身の年配男性 セレブ女性と会って“いい思い”をして5万円もらえるが…性的欲求を利用した驚くべき手口 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
由莉は愛子さまの自然体の笑顔を引き出していた(2021年11月、東京・千代田区/宮内庁提供)
愛子さま、愛犬「由莉」との別れ 7才から連れ添った“妹のような存在は登校困難時の良きサポート役、セラピー犬として小児病棟でも活動
女性セブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
『帰れマンデー presents 全国大衆食堂グランプリ 豪華2時間SP』が月曜ではなく日曜に放送される(番組公式HPより)
番組表に異変?『帰れマンデー』『どうなの会』『バス旅』…曜日をまたいで“越境放送”が相次ぐ背景 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン