女のバトルが盛り上がる作品には「和装」は欠かせない。80年代からヒットした『極道の妻たち』シリーズの岩下志麻は、着物の首元にキラキラのネックレスを装着。「撃てるもんなら、撃ってみい」なんてことを言い放つ。90年代には、野際陽子が眼鏡を光らせながら、息子に執着する姑になったし、とてつもないタイトルのドラマ『壮絶!嫁姑戦争 羅刹の家』(テレビ朝日)では、日本を代表する和服美人・山本陽子が嫁の加藤紀子と激突。横領した金で銀座に君臨する女が主人公の『黒革の手帖』(テレビ朝日)の米倉涼子も目立たない銀行員から夜の女の着物姿になった途端、ギアが入った。
きっちり帯を締めれば、背筋も伸びるし、スキもなくなる。汚さない、乱さないという和服のタブーを破った瞬間の爆発力はすさまじい。かつては『ナースのお仕事』(フジテレビ系)のドジな看護師役や『サザエさん』(フジテレビ系)のサザエさん役で自ら転んで水を被り、池に落っこちていた(あくまでイメージです)観月ありさが、和装の姑役とは感慨深いものがあるが、いつか厚底草履を履いたあの長い足で誰かを蹴倒す日が来るのか。注目だ。