ゲイリー・クーパーの作品も追っかけてみた。彼がアカデミー主演男優賞を取ったのが『真昼の決闘』。西部劇のぼくのおすすめは、この作品か『荒野の決闘』。ジョン・フォード監督、ヘンリー・フォンダ主演の『荒野の決闘』は、女性が見ても楽しめるのではないか。この映画が作られたのはぼくが生まれた年の2年前の1946年。大学生になってから、文芸座の3本立てで観たような記憶がある。
小説にも飛んでみた。映画『モロッコ』と同じ、モガドールを舞台にした小説『空気の名前』(アルベルト・ルイ=サンチェス著、白水社)という小説を、数年前、アフリカを旅行しながら読んだ。女性へと脱皮していく少女を、メキシコ出身の作家が美しい文体で描写している。
映画館に少しずつ人が戻りつつあるなかで、『海の上のピアニスト』が約20年ぶりに4Kデジタル修復版と、当初イタリアで公開された170分版で、8月21日からロードショーされる。
DVDで見たが、映像が美しく、すばらしい。監督は『ニュー・シネマ・パラダイス』や『鑑定士と顔のない依頼人』のジュゼッペ・トルナトーレ。生まれてから一度も船から下りたことのないピアニストが、ジャズピアニストと船の上で対決する。これが圧巻だ。
映画と音楽は、切り離すことができない。映像を見ると音楽を思い出し、音楽を聴くと映像を思い出す。そこで、記憶をたどりながら大好きな音楽映画ベスト10という遊びを始めてみた。
1位は、見終わった直後だったこともあって、やっぱり『海の上のピアニスト』。2位は2年前大ヒットした『ボヘミアン・ラプソディ』。3位は第二次世界大戦におけるワルシャワを舞台にした、ロマン・ポランスキー監督の『戦場のピアニスト』。『ローズマリーの赤ちゃん』のポランスキーがこんな映画を作るのかと思って感動したのを覚えている。