ニュースで連日耳にする「陽性率」もアテにはならない。抗原検査やPCR検査を受けた人のうち、陽性者の割合を陽性率と呼ぶが、前出の篠原さんはこう指摘する。
「陽性率は比率ですから、検査を受けた人数(分母)と陽性だった人数(分子)によって数値が変わります。陽性の人数が同じ場合、検査数が少なければ陽性率は高く、多ければ陽性率は低くなります。政府の対策分科会は『PCR検査陽性率10%』を感染者増や感染爆発の指標としましたが、その根拠は明らかにされていません。
また、東京都の陽性率は全市区町村の平均値です。ある地域で、陽性患者が少ないのに検査数を増やすと、その地域の陽性率は低く出ます。その結果、もし陽性率の高い地域があったとしても、都全体の数値はマイルドになるので注意が必要です」
政府は「病床数は逼迫していない」と説明しているが、これにも大きな疑問がある。
例えば滋賀県はホームページで「病床稼働率」を公表していて、8月11日に掲載された割合は17.3%。充分に「余裕がある」と思える数値だが、実際には県が確保しているコロナ患者用の155床のうち、78.1%に当たる121床がすでに埋まっていた。なぜこうも数字が違うのか。
「ピークに合わせて700床の確保を計画しており、この最大確保病床をもとに稼働率を出していました。しかし、県民の皆さんの関心は“現在すぐに何人入れるか”にあると思い、最近、改めて“現時点の確保病床等の稼働率”を入れました」(滋賀県・感染症対策室担当者)
実際に稼働していないベッド数を公表するのは、虚偽だといわれても仕方ない。
名古屋市では、すでに高齢者や軽症から中等症になりかけている人が、“入院待ち”を余儀なくされていると報じられている。
発表される数字だけを鵜呑みにしていると、現実を見誤るかもしれない。
※女性セブン2020年9月3日号