MEGA BIGなどのスポーツくじが宝くじと異なる点は、1口の当せん確率が必ずしも同じではないというところだろう。宝くじならば何組の何番であろうと、当せん確率は変わらない。どの番号のくじでも当せん確率は同じだ。
2019年のJ1のリーグ戦の結果をみてみると、全306試合のうち、【1】は80試合(26.1%)、【2】は85試合(27.8%)、【3】は63試合(20.6%)、【4】は78試合(25.5%)であった。そこで、今年も両チームの合計得点数が【1】【2】【3】【4】となる確率はこの割合のとおり、26.1%、27.8%、20.6%、25.5%であると仮定してみよう。
こう仮定すると、当せん確率が一番高いくじは全試合が【2】のくじで、1等当せん確率は、0.0000211%となる。逆に当せん確率が一番低いくじは全試合が【3】のくじで、1等当せん確率は、0.00000058%となる。くじによって当せん確率は大きく異なる。
1等の当せん確率は、平均的には0.000006%となる。1試合には4通りの結果がありうるので、12試合では、その12乗の「1677万7216通り」の結果が考えられる。この中から1通りだけ1等が出るという確率だ。これは2000万枚に1枚の1等当せんが出る年末ジャンボ宝くじよりも高い確率となる。
販売口数から1等が出てもおかしくない?
MEGA BIGは2月に販売開始してから、何度かくじが中止された。中止となった回を除くと、これまでに全部で17回開催されて、合計1936万7086口分の投票が行われた(スポーツくじオフィシャルサイト/独立行政法人日本スポーツ振興センターの「くじ結果」より)。
ところが、まだ一度も1等が出ていない。どう考えたらよいだろうか。
ここで、徹底的に簡略化して考えてみよう。まず、サッカーの試合とか合計得点数とかという要素はすべて取り除く。そのうえで、コンピュータによる1口の試合結果の選択はランダムに行われる。ある1口と別の1口の間で、試合結果の選択はまったく無関係に独立して行なわれる。そして、最後に当せんとなる試合の結果もランダムに決まるとしてみよう。
すると、これは1677万7216回に1回当たりが出る「仮想のくじ引き」を考えることに行き着く。そして、この仮想のくじ引きを1936万7086回引いたときに、1回も当たりが出ない確率はどれくらいか? という問題として捉えることができる。
じつは、計算上この仮想のくじ引きで、くじを1936万7086回引いたら、約68%の確率で当たりが出ることになる。これだけくじを引いても、当たりが出ないのは約32%の確率となる。ちなみに、1回は当たりが出る確率が50%を超えるためには何回くじを引いたらよいかを計算すると、1162万9080回という結果が導かれる。
つまり、1936万7086口分の投票で、まだ1等が出ていない現在の状況は、仮想のくじ引きによると約32%の低確率のケースに相当する。