心に闇を抱える脱獄犯を演じた今年、俳優として何に興味があるかとのインタビューに、
《変に思われるかもしれませんが、よりよく生きること》(『週刊女性』2020年1月1日号)
と答えていたのも、役柄と自分自身の境界線の曖昧さゆえだったのかもしれない。
このインタビューで、三浦さんは樹木希林さん(享年75)の著書で出合ったという言葉を挙げている。
《“しっかり人の痛みに触れるとか、誰かの思惑をしっかり考えてあげて、そこに寄り添ってあげるっていうことが役者には必要だ”ということが書かれていて》
2018年9月15日に亡くなり、この秋に三回忌を迎える樹木さんは、俳優活動の傍らで若者の自殺を抑止する活動に共感し、死の直前まで、思いとどまらせようとする言葉を残し続けていた。
三浦さんは、他人の命に向けた樹木さんの優しい言葉に触れていたのだろうか。その上で、それでも自死を選んだのなら、彼の心は想像を絶するほど揺れ動き、最後の選択を下したのかもしれない。精神科医の片田珠美氏が語る。
「三浦さんのように前日まで普段と変わらない様子なのに突然……というかたは少なくないです。無理に励ましの言葉をかけるのではなく、寄り添ってあげることが何よりも大切ですね」
一線で活躍し続けた三浦さんと樹木さんは、共演作品が1本もない。四十九日を過ぎると、故人の魂は極楽浄土へいくという。そこで対面する三浦さんと樹木さんは、どんな初共演を果たすのだろうか。
※女性セブン2020年9月24日・10月1日号