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大物を輩出したロフト 坂本龍一は当初から”教授”の呼び名

80年代初頭、新宿駅西口、小滝橋通りにあった新宿ロフト前で入場を待つファンたち(写真/ロフトプロジェクト提供)

「まさか、うちで……!?」。今年3月、「LOFT HEAVEN」(東京・渋谷)で、コロナ感染者発生の報を聞いた、ライブハウス「ロフト」創始者の平野悠さんは呆然とした。まだ緊急事態宣言は発令されておらず、入場観客数を半分にし、消毒などの予防措置を取った上でのライブ開催だったが、出演者はじめ、観客、スタッフが新型コロナウイルスに感染していた。ここでの感染を引き金に、ライブハウスという存在自体が集中砲火を浴びた。

「コロナがなければ、ライブハウスはもっとおもしろいことになっていたと思うんだよね」(平野さん・以下同)

 レコード会社が不振の昨今、CDの印税やプロモーション料が見込めなくなった多くのミュージシャンが活動の場をライブハウスに求め、ここ3年ほどは盛り上がりを見せていたという。

「『ロフト』も新規店舗をガンガン増やして、全国で計12店舗展開していたんです。来年の50周年に向かって絶好調だったのに、今回のコロナで木っ端みじんですよ。僕の頭もぶっ飛んだよね」

 1970年代初頭、東京・世田谷でジャズ喫茶「烏山ロフト」を営んでいた平野さんは、1973年に東京初のロックのライブハウス「西荻窪ロフト」を開業した。といっても、その頃はまだ“ライブハウス”という言葉すら存在していなかった。

「当時はロック界の大御所・内田裕也さんが『日本のロックも世界に通用するよう英語で歌うべきだ』と主張してたんですよ。そこへ、『日本語でロックをやったっていいじゃん!』と立ち上がったのが、“日本語ロックの草分け”『はっぴいえんど』(細野晴臣、大滝詠一、鈴木茂、松本隆)でした」

「ロック=英語」の呪縛から解放され、彼らに影響を受けたミュージシャンが次々と現れた。しかし、曲や演奏を発表できる場がない。「じゃ、僕が作っちゃうか……と」。そして、西荻窪ロフトが産声を上げた。

「音響も照明もマイクの立て方も知らないまま、とにかくステージを作った。楽屋はなし、トイレは客と共用、ギャラもほとんど出なかったけれど、文句言うヤツはいなかった。みんな演奏できるだけで喜んでいたよね」

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