虫歯治療 保険と自費はこう変わる

虫歯治療 保険と自費はこう変わる

世界標準はコンポジット・レジン

 中高年世代の口に光る銀歯は、保険診療の定番として普及してきた。ただし、保険診療の点数が安い影響で“手抜き銀歯”が少なくない。その為、銀歯の下で虫歯が再発する「二次カリエス」が頻発している。岡山大・森田学教授の調査では、銀歯(※インレー=比較的小さな虫歯の治療)の平均使用年数は「5.4年」だった。

 保険の銀歯の素材は長く、パラジウム合金が主流だったが、近年パラジウムの世界的な高騰で、金価格を上回っている。そこで、今年から純チタニウムが新しい保険の銀歯素材として承認された。ただ、ベテランの歯科医に聞くと、理想的な金属は金合金やプラチナ合金を挙げる人が多い。適度な硬さと、歯と親和性が高いことが理由だが、自費診療でしか使えない。

 世界標準の虫歯治療は、コンポジット・レジンというプラスチック系素材を光で固めて充填する方法である。歯を削る量が最小限なので、寿命も長くなる。ただし、大きな虫歯には使用できない。

 保険のレジン治療は2000円程度、自費は1万~3万円と差は大きい。

 本来のレジン治療は、少しずつ層を重ねるように固めながら、丁寧に時間をかけて充填する。耐久年数は10年以上。こうした丁寧なレジン治療は自費で行う歯科医が多い。一方、保険では、層を重ねず一度に充填する歯科医も存在する。こうした“手抜き”をすると、数ヶ月程度で剥がれてしまうこともあるのだ。

長い目で見ると、自費の方がお得な場合もある。

 セラミックは、見た目が自然で、治療したことが判別できない。費用は高いが、プラークが付着しづらい素材で、虫歯や歯周病のリスクが低いというメリットもある。

 CAD/CAM冠は、コンピュータによって削り出したレジンとセラミックのハイブリッド素材の被せ物だ(※クラウンと呼ばれる)。外見は、ほとんどセラミックと変わらない。条件付きだが、保険で比較的安く白い歯を入れられる。ただし、CAD/CAM冠は強度を保つために、金属よりも土台の歯を大きく削る場合が多いので、歯の寿命に影響する可能性が指摘されている。

 治療を選択する時には、目先の費用だけでなく5年後、10年後までを考慮したい。また、治療の質を決めるのは歯科医の診療姿勢(誠実さ)。保険診療で質の高い治療をしている歯科医もいる。

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