国際情報

内モンゴルでモンゴル語教育中止 取材の米人記者が拘束

中国政府による内モンゴルへの厳しい監視が続く

 中国内モンゴル自治区において、9月の新学期から「これまでモンゴル語で教えていた小中学校や高校、大学でのモンゴルの歴史・社会、国語(文学)などの授業を中国語を使って教える」という指示がなされ、地元のモンゴル族の市民が内モンゴル政府に強く反発している。2000人以上のモンゴル族の教師と30万人の小中学生が授業をボイコットし、デモや集会を開くなどの抗議行動が拡大しており、一部が警官隊と衝突し、数千人が逮捕されるという深刻な事態を招いている。

 人権擁護団体の南モンゴル人権情報センター(米ニューヨーク)によると、中国政府は全国統一の学習要項を導入し、内モンゴル自治区では、モンゴル独自の歴史や文学などの科目を段階的に廃止していくことを決定。9月1日の新学期から、教育機関での授業はすべて漢語(中国語)で行うことになった。

 内モンゴル自治区は人口2500万人のうち、約17%に当たる425万人がモンゴル族住民。同自治区政府のモンゴル語授業中止政策が今年7月に発表されると、モンゴル族を中心に「モンゴル族独自の文化を消滅させる暴挙だ」として当局に反発する声が強まっており、9月に入って連日、住民や学生ら数万人が街頭に飛び出して、激しいデモが行われているという。

 とくに、同自治区の区都であるフフホト市内の「内モンゴル師範大学」の学生とその保護者らは大学の正門前で抗議デモを行ったほか、モンゴル語教育中止に反対する署名活動を展開したため、警官隊がこん棒などで殴り掛かるなど鎮圧活動を行った。

 同市内では1000人以上の市民が当局に拘束されたり、自宅軟禁状態におかれたり、市政府は外出禁止令が出すなど、フフホト市は事実上の戒厳令下にあるようだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

上原多香子の近影が友人らのSNSで投稿されていた(写真は本人のSNSより)
《茶髪で缶ビールを片手に》42歳となった上原多香子、沖縄移住から3年“活動休止状態”の現在「事務所のHPから個人のプロフィールは消えて…」
NEWSポストセブン
ラオス語を学習される愛子さま(2025年11月10日、写真/宮内庁提供)
《愛子さまご愛用の「レトロ可愛い」文房具が爆売れ》お誕生日で“やわらかピンク”ペンをお持ちに…「売り切れで買えない!」にメーカーが回答「出荷数は通常月の約10倍」
NEWSポストセブン
王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
《10代少女らが被害に遭った“悪魔の館”写真公開》トランプ政権を悩ませる「エプスタイン事件」という亡霊と“黒い手帳”
NEWSポストセブン
「性的欲求を抑えられなかった」などと供述している団体職員・林信彦容疑者(53)
《保育園で女児に性的暴行疑い》〈(園児から)電話番号付きのチョコレートをもらった〉林信彦容疑者(53)が過去にしていた”ある発言”
NEWSポストセブン
『見えない死神』を上梓した東えりかさん(撮影:野崎慧嗣)
〈あなたの夫は、余命数週間〉原発不明がんで夫を亡くした書評家・東えりかさんが直面した「原因がわからない病」との闘い
NEWSポストセブン
テレ朝本社(共同通信社)
《テレビ朝日本社から転落》規制線とブルーシートで覆われた現場…テレ朝社員は「屋上には天気予報コーナーのスタッフらがいた時間帯だった」
NEWSポストセブン
62歳の誕生日を迎えられた皇后雅子さま(2025年12月3日、写真/宮内庁提供)
《愛子さまのラオスご訪問に「感謝いたします」》皇后雅子さま、62歳に ”お気に入りカラー”ライトブルーのセットアップで天皇陛下とリンクコーデ
NEWSポストセブン
竹内結子さんと中村獅童
《竹内結子さんとの愛息が20歳に…》再婚の中村獅童が家族揃ってテレビに出演、明かしていた揺れる胸中 “子どもたちにゆくゆくは説明したい”との思い
NEWSポストセブン
日本初の女性総理である高市早苗首相(AFP=時事)
《初出馬では“ミニスカ禁止”》高市早苗首相、「女を武器にしている」「体を売っても選挙に出たいか」批判を受けてもこだわった“自分流の華やかファッション”
NEWSポストセブン
「一般企業のスカウトマン」もトライアウトを受ける選手たちに熱視線
《ソニー生命、プルデンシャル生命も》プロ野球トライアウト会場に駆けつけた「一般企業のスカウトマン」 “戦力外選手”に声をかける理由
週刊ポスト
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン