国内

山口達也逮捕 社会はアルコール依存症とどう向き合うべきか

再合流はあるのか

復帰はさらに難しくなってしまった

 追突事故をきっかけに議論百出の事態となった。コラムニストのオバタカズユキ氏が考察した。(文中敬称略)

 * * *
 飲み始めると酔いつぶれるまで深酒をし、目が覚めるとまた酒を飲んでしまい、そのせいで社会生活も家庭生活もうまくいかなくなっているのに、それでも酒がやめられない。そういう状態に陥った人を一昔前は「アル中」と呼んでいた。最近では医療用語の「アルコール依存症」を用いることが一般的になっている。

 自分の知り合い、仕事仲間や友人、親戚などの顔をできるだけたくさん思い浮かべてみよう。その中にアルコール依存症者や依存の疑いのある人はいないだろうか。

 私の知り合いでは、これまで3人がアルコール依存症で亡くなっている。うち2人は、肝臓や心臓などの内臓疾患が直接原因で、もう1人は自殺だった。そこまでいかなくても、アルコール依存症の疑いのある知り合いなら、さらに4、5人いる。彼ら彼女らはなぜか仕事のできる人ばかりで、酒での失敗を繰り返しながらどうにかやっているが、いつまでそれが続くかは微妙だ。

 日本でアルコール依存症として治療を受けている患者数は5万人前後。だが、治療につながっていないアルコール依存症者は100万人以上いるそうだ。かなり身近でよくある病気だといえるし、重度になると命にかかわる病気であるから、その対策は国民的課題だとしても大げさではないはずだ。日本は飲酒に寛容な国なので、なおさらである。

 しかし、この病気に対する理解はまだ浅い。依存症になる人は、ほど良いところで酒をやめられない、だらしのない人間だとする見方がいまでも根強い。つまり意思の弱さが問題であるという精神論だ。精神論が通じない病気に罹患しているからこそ、アルコール依存症という病名がつけられ、治療は医療保険対象となっているわけだけれども、その理解は発展途上にある。

 先日、元TOKIOの山口達也が、酒気帯び運転で現行犯逮捕された。山口は2年前にも泥酔状態で女子高生へのわいせつ事件を起こし、それが原因で芸能界から事実上の引退となっていた。そこにまた今回の事件。負傷者が出なかったことは幸いだが、堕ちた元大物アイドルのさらなる転落に、テレビのワイドショーをはじめとするマスコミは大いに沸いた。そこではやはり、精神論から山口を叩くやり方が主流だった。

 だが、それは果たして視聴者が求めている報じ方だったのだろうか。違うような気がする。少なくともネット上の反応とは、だいぶ温度差があったのだ。

 私の見た限り、ツイッターでもっとも拡散された関連ツイートは、〈山口達也さんをDASH島に監禁して酒飲ませないようにするとか言ってる人いるけど酒作ってしまいそう〉というちょっとしたジョークである。からかってはいるが、山口叩きとは違う。もうちょっとあたたかな目線を感じさせる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン