格差社会はますます広がっていくのか
巨額の役員報酬とほぼ横ばい状況のサラリーマン年収。役員報酬の最高額が巨額化するにつれ、一般サラリーマンとの格差は広がる一方。富の偏在がどんどん進んでいく。こんな歪んだ構図を目の当たりにして、サラリーマンのモチベーションは下がらないのだろうか。
そんな格差社会を襲ったのがコロナ禍だ。長期化するコロナ禍による業績大幅ダウンで、状況に変化が表れ始めている。役員報酬の減額や自主返納を表明する企業が相次いでいるのだ。4月以降の新聞記事を拾ってみた。
「日航、役員報酬自主返納 新型コロナ感染拡大 利用者大幅減で」
「すかいらーく 新型コロナで売上減少 役員報酬減額」
「西武HD 取締役報酬を減額 最大3割」
「三菱自動車 2020年度の役員報酬を減額」
これまでに160社以上が役員報酬の減額を表明したと伝えられている。
しかし、社員も無傷ではない。「2020年 上場企業の早期・希望退職募集 1万人を超える」──。
東京商工リサーチが9月15日に発表したショッキングな調査結果だ。募集企業数は前年(2019年1─12月)の1.7倍に当たる60社に達し、募集人数は1万100人。2010年の年間85社に迫る勢いだという。
例えば、レオパレス21(募集人数1000人)、ファミリーマート(同800人=応募1025人)、シチズン時計(複数の子会社で実施=750人)などで、コロナ禍の影響を要因として挙げたのは全体の3分の1。60社のうち半数の31社は本決算が最終赤字だった。
業績悪化で役員は報酬カット、社員は一時帰休や早期・希望退職。ここにも格差が表れている。
給与はそこそこに抑え込まれ、業績が悪化したら使い捨てのサラリーマン。もちろん、業績悪化の責任を取らされて解任される役員もいるだろうが、それはそれで巨額の退職慰労金が支給される。グローバル社会だとか、成果主義だとか言って、欧米のまねごとをしてきた結果がこのありさまである。