あるとき知人の大学教員がこんなことを漏らしていた。
「ひところプロ経営者という言葉がもてはやされ、業績連動型での巨額の報酬が当たり前のように言われてきました。仮に業績が上がったとして、その役員の報酬額はどこまで妥当性があるのか。報酬を決める報酬委員会のメンバーは取締役会が決めるから、お手盛りになりかねない。
業績が上がったのは社員が一生懸命働いた結果なのだから、彼らにこそ還元すべきなのに内部留保に回してしまう。これでは日本のサラリーマンは報われませんよ」
しかも、安倍前政権下で実施されてきた法人税の一部を政策的に減税する「租税特別措置」で、資本金100億円以上の巨大企業の2013年度から2018年度までの減税額は3.8兆円に上り、全体の6割を占めていると報じられた。税制面での恩恵も偏り、格差があるのだ。そして巨額の役員報酬である。
ポストコロナ時代に向け、税制のあり方、企業のあり方、利益還元のあり方、正規、非正規を問わず社員の働き方、待遇をドラスチックに見直すべき時期ではないだろうか。