根本的な社会弱者対策を
若者世代の自殺のうち、学生・生徒等を昨年と比較すると、59人から112人へとほぼ倍増だ。高校生19人→42人 大学生25人→41人 専修学校生等6人→12人 中学生9人→16人、小学生0→1人。
その背景には、生徒や学生を取り巻く環境の悪化がある。長期にわたった休校やオンライン授業による巣ごもり化、アルバイト失業による生活苦、高い授業料……。日々追い詰められていく中で“コロナ鬱”になってしまうケースが出てきてもおかしくない。そこに有名芸能人の相次ぐ死が重なった。
総務省が発表した8月の労働力調査によると、製造業の就業者数は前年同月比52万人減と、リーマン・ショック後以来10年7か月ぶりの下げ幅を記録した。厚労省発表の8月の有効求人倍率は1.04倍で8か月連続で悪化だ。若者や彼らの両親、家族が働く環境がどんどん悪化しているのだ。
文部科学省の調査では、関東(1都6県)の大学と高等専門学校で、後期授業を全面的に対面で実施するのは8.8%しかないことが判明した。多くの学生はオンライン授業を強いられるわけだ。それでいて高額の授業料が減免されるわけではない。
学生団体「一律学費半額を求めるアクション」は9月30日、国の予算で対面授業の再開を後押しするよう求める集会を参院議員会館で開いた。学生の間からは「今こそ公的支援が必要。このままでは学生、大学が見殺しにされてしまう」といった切実な声が上がっていた。
経済的に困窮している学生に対しては「学生支援緊急給付金」があるが、わずか10万円(住民税非課税せたいの学生は20万円)である。私立大学の授業料は90万4146円(平成30年度=文科省調査)。10万円程度の支援で凌げるはずがない。