国内

新設の「男女間暴力対策課」はLGBTの性暴力を扱わないのか

「男女」という概念について語り合った村木氏と治部氏

性的マイノリティとジェンダーについて語り合った治部れんげ氏と村木真紀氏

 10月1日、政府は性暴力やドメスティックバイオレンス(DV)の対策強化のために内閣府に「男女間暴力対策課」を新設した。しかし、性暴力やDVは決して「男女間」だけのものではない。このたび『虹色チェンジメーカー』を上梓したLGBTの人々が働きやすい職場づくりを支援するNPO法人「虹色ダイバーシティ」代表の村木真紀氏と、ジェンダー問題に詳しいジャーナリスト・治部れんげ氏が語り合った。

 * * *
村木:政府は10月1日、DVや性暴力への対策を強化するため、内閣府に設置されている「暴力対策推進室」を格上げし、「男女間暴力対策課」を新設しました。そのこと自体は素晴らしいのですが、名前がショックで。

治部:「男女」っていう点ですよね。

村木:そうなんです。「男女」という名前をつけられた時点で、「自分はそこにはまらない」と思う人たちが出てくる。ハードルが高い機関になってしまいます。LGBTは結構深刻なDVの被害に遭っている方も多いんですが、「男女」と言われると申告がしにくくなってしまうのではないかと危惧しています。ただでさえ被害に遭っていることを外から発見するのは難しいのに……。

治部:私はこのDVや性暴力とその対策に関しては、結構、取材をしたり原稿を書いたりしてきました。「男女間」になったことについては、そうじゃないっていう声も関係者の中ではあったんですけどね……。今、刑法の性犯罪規定をさらに見直していますし、性教育に関しても立案に向けて動いていて。数少ない女性閣僚の一人である上川陽子法務大臣は、ずっと性犯罪のことに真面目に取り組んでいて、「Spring」という被害者団体と連携して議連をつくって。この問題が進むんじゃないかっていう期待感がある中でのこの課の名前っていうのは、やはり残念だなと思いました。

村木:刑法の見直しについて言うと、これは3年前に「強姦罪」が改められて男性への性暴力も取り締まる「強制性交等罪」となったときに「3年ごとの見直し」規定が設けられて、今それをやっているところです。女性間でもDVは起きますし、男性器だけじゃなく手指や器具も含めるよう、要望が出されています。

治部:性的マイノリティの実情に即してください、ということですね。

村木:それから今、自殺が増えているという問題で、自殺の調書で警察がチェックをつける「経済問題」などの項目の中に「男女問題」もあるんです。でもじゃあLGBTはどうなるのか?と。LGBTの自殺率の高さは以前から指摘されていたのに、肝心の自殺の統計ではわからない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

結婚を発表した長澤まさみ(時事通信フォト)
《トップ女優・長澤まさみの結婚相手は斎藤工と旧知の仲で…》インスタ全削除の“意味深タイミング”
NEWSポストセブン
箱わなによるクマ捕獲をためらうエリアも(時事通信フォト)
「クマが人里に降りてくるのは必然」「農業は野生動物に対する壮大な餌付け」 知床・ロシアでヒグマを撮った動物写真家が語る “現代の人間に欠けている自然観”
NEWSポストセブン
11人家族の宮前家
《子ども9人“大家族のパン屋さん”》「店員さんが注文を覚えきれなくて(笑)」11人家族のインフレ“金銭事情”と、大人数子育てで培ったこと「マニュアル本は役に立たない」
NEWSポストセブン
長男・泰介君の誕生日祝い
妻と子供3人を失った警察官・大間圭介さん「『純烈』さんに憧れて…」始めたギター弾き語り「後悔のないように生きたい」考え始めた家族の三回忌【能登半島地震から2年】
NEWSポストセブン
インフルエンサーのぴきちんさん(Instagramより)
《2年連続ポストシーズン全試合現地観戦》大谷翔平の熱狂的ファン・ぴきちん、全米巡る“体力勝負”の脅威の追っかけはなぜ可能なのか
NEWSポストセブン
2024年に『ウチの師匠がつまらない』を上梓
「視聴率とれたらオレのおかげ?罰が当たるよ」三遊亭好楽さんが『笑点』メンバーや裏方に愛され続ける“お客さんファースト”  地方営業で土産を爆買いも
NEWSポストセブン
古谷敏氏(左)と藤岡弘、氏による二大ヒーロー夢の初対談
【二大ヒーロー夢の初対談】60周年ウルトラマン&55周年仮面ライダー、古谷敏と藤岡弘、が明かす秘話 「それぞれの生みの親が僕たちへ語りかけてくれた言葉が、ここまで導いてくれた」
週刊ポスト
小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン