ぼくを“欽ちゃん”って呼んでくれるのは宏美チャンだけなの
思えば、芸能界にはフワちゃんの大先輩ともいうべき“憎まれないタメ口オンナ”がいらっしゃいました。実は彼女たちには共通点がいくつかあって、まずは「お嬢さま」という点です。特に昔の芸能界には幼少時から私学に通っているようなお嬢さまはとても少なかったのですが、浅田美代子サン(64才)や岩崎宏美サン(61才)、松本伊代サン(55才)らはその代表格でした。
タメ口オンナという印象がないですか? はい、フワちゃんほどのタメ口ではありませんが、インタビューをさせていただくと、会話の中に、ちょいちょい(!)タメ口が。そして大物をニックネームや“ちゃんづけ”で呼ぶ共通点もありました。
宏美サンは萩本欽一サン(79才)時代の『スター誕生!』(日本テレビ系)出身者ですが、「ぼくのことを“欽ちゃん”って呼んでくれるのは宏美チャンだけなの」と萩本サンはたびたびおっしゃり、それを喜んでおられたのです。
美代子サンは『時間ですよ』(TBS系)が女優デビュー作ですが、堺正章サン(74才)を「マチャアキ」と。大人になってからも中村玉緒サン(81才)を「お母さん」、樹木希林さん(享年75)を「ばあば」と呼んでいらっしゃいました。呼ばれた皆さんが美代子サンのことを妹や娘のようにかわいがっていらっしゃることは言うまでもありません。
伊代サンも昔から、悪びれることなく(!)タメ口ですし、ニックネームや“ちゃんづけ”“くんづけ”を連発なさいます。ご友人に、そういう「お嬢さま」が多かったことと、デビュー時の“環境”に恵まれていたからでしょうね。萩本サンのように、後輩から親しみをもって呼ばれることを「うれしい」と思ってくださるかたも、伸び伸びと育ってきた少女たちをそのまま大人にさせてくれたのでしょう。
近年では、神田うのサン(45才)と森泉サン(37才)が浮かびます。おふたりもまた「お嬢さま」として有名で、セレブな大人にずっと囲まれているという印象がありますし、スタイル含め、抜群の美貌の持ち主でもありますよね。
そういう美人がタメ口を連発するとイヤミに聞こえてしまいそうですが、視聴者の皆さんはともかく、仕事仲間である“芸能部”で嫌われないのは、彼女たちが実はとっても礼儀正しいからなのです。うのサンは、かなり大人数で食事をしていて(注・コロナ禍の話ではありません)、翌日の仕事が早いために先に帰ることになったとき、黙って全員分のお会計を済ませるような女性。年上の大人たちがたびたび驚いていました。
泉サンのタメ口とフレンドリーでありながら、とても正直でハッキリした人柄は、共演者からとっても好かれているのです。『おしゃれイズム』(日本テレビ系)の司会は今年で15年。どんなゲストにもタメ口ですが、怒らせたり不機嫌にさせたりというエピソードは聞こえてきません。
こうして芸能界のタメ口オンナをひもといていくと、誰もがすぐに真似できることでもないように思います。彼女たちはみな、もともと、おっとりした面があるのだけれど、ボーっとはしていなくて、目配りや気遣いがちゃんとできている。しかも、その道のプロとして長年、芸能界で活躍していらっしゃいます。
実はフワちゃんは帰国子女。お父さまは輸入雑貨店を経営されていて、以前、実家ロケをした際、「豪邸だし室内がキレイすぎる」と評判になったので、きっと「お嬢さま」なのでしょう。タメ口の大先輩たちのように、フワちゃんが息の長い芸能生活を送れるよう、ファンとして祈っています。
■構成/山田美保子
『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)などを手がける放送作家。コメンテーターとして『ドデスカ!』(メ~テレ)、『アップ!』(同)、『バイキングMORE』(フジテレビ系)、『サンデージャポン』(TBS系)に出演中。CM各賞の審査員も務める。
※女性セブン2020年10月29日号