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故八千草薫さん、一周忌前に3億円豪邸が解体 背景に相続税

遺言書に記した望み叶わず…

 自分が死んだ後の不動産について、悩みを抱える人は多い。夫も子供もいないとなれば、なおさらだ。昨年亡くなった女優・八千草薫さん(享年88)もまた亡くなる前に、長年過ごしてきた東京・世田谷の豪邸に考えを巡らせ、遺言書に思いをつづっていた。しかし──。

 ミシミシ、バリバリバリ──10月中旬のとある日、東京・世田谷区の閑静な高級住宅街に、轟音が響いた。

 重機が住宅の塀を壊して敷地に入り、邸宅を容赦なく破壊していく。ここに建っていたのは、瀟洒な戸建て。150坪もの敷地に広がる庭には桜や金木犀が植えられ、メダカやオタマジャクシなど小さな生き物の生をはぐくむ池もあり、土地だけでも3億円もの資産価値がある。大きな家が多いこのあたりでも、特に目を引く豪邸だった。近隣の住民が残念そうに話す。

「この家は、八千草さんが生前お住まいになっていた家なんですよ。亡くなった後、ずっとそのままだったのですが、ついに取り壊しが始まってしまいましたね。まだ一周忌前というのに随分早いな……何か事情があるんでしょうか」

 昨年10月24日に88才で亡くなった八千草さん。2018年にすい臓がんと診断され大手術を受けるも、その後は自宅に戻って療養を続けてきた。

「一時期は、懇意にしていた脚本家の倉本聰さんの案内で北海道・富良野を訪れるほど回復したのですが、昨年突然体調を崩されて入院。そのまま帰らぬ人となってしまったのです」(八千草さんの知人)

 八千草さんの夫で映画監督の谷口千吉さん(享年95)は2007年に他界。子宝には恵まれなかったものの、おしどり夫婦として知られていた。

「実は八千草さん、亡くなる直前に遺言書を書いていたんですよ。ひとり身ですし、きょうだいもいないので、自分が亡くなった後のことを気にしていたのでしょう。遺言書には、アクセサリーやバッグなどを知人に形見分けすること、“自宅をそのままの形で残してほしい”といった旨がつづられていたんです」(前出・知人)

 愛する伴侶と過ごした思い出がつまった家を残したい──それは、八千草さんの最後の望みだった。この願いをかなえるため、彼女自身も生前からさまざまな方法を思案していたという。

「世田谷区に寄贈することも考えたそうですが、“更地なら”という条件だったそうで、断念せざるを得なかったそうです。最終的に、“いちばん迷惑が掛からない方法で”と選択したのが、お世話になったかたたち3人に遺贈することだったんです」(前出・知人)

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