スカウト「4位まで残っているかな?」
進路をプロに絞った大曲は、夏場から硬式に再転向。同じ福岡大の硬式野球部の練習に参加し、硬式球を使っての本格的なピッチングを始めている。部員登録をしていないため試合には出場出来ないが、打撃投手として、シート打撃などで打者相手に全力のボールを投げることもある。球速は140km台後半をコンスタントに計測し、硬式球への違和感はないという。
ドラフトが近づく中、ヤクルトなどが指名候補としてリストアップしたことがスポーツ紙で報道されるなど、もはや指名は確実視されている。順位は4~6位の中位での指名と見るのが順当だろう。それでも、「4位まで残っているかな?」と他球団の動きを探るスカウトの声も聞こえてくる。予想以上に上位で指名される可能性もありそうだ。
俄然注目を集め始めた“準硬式の星”だが、準硬式野球関係者の中には、「試合をしていない分、良い話ばかりでちょっと心配になります」と冷静に見ている者もいる。
「プロ入りした後、どれだけプロの環境に馴染めて、コーチやスタッフに応援してもらえるかが重要だと思います。即戦力ではないので、1年でどれくらい伸びるのかがカギでしょうね。可能性があると思ったら、それだけチャンスをもらえる世界ですから」(同前)
“異色の経歴”ということでは、準硬式だけでなく、近年は独立リーグからNPB入りし、素質を開花させる選手も増えている。今年の独立リーグは、MAX150km超の石井大智(高知ファイティングドッグス)を筆頭に、投手が空前の逸材揃いと評判だ。
反面、こうした選手たちは、結果が出なければ見切りをつけられるのも早いという現実もある。大曲に話を戻せば、まず「硬式球で、(準硬式と)同じボールが投げられるのか」という判断が求められる。
スカウトは、埋もれかけていた原石をどれくらい見分け、ダイヤモンドやプラチナにすることが出来るのか? その答えは何年か後に出てくる。