トランプ氏の追い上げのもう一つの理由は、「トランプ・チャンネル」「共和党チャンネル」とも揶揄されるFOXニュースである。ニュースショーの人気司会者たちが、それぞれの番組でバイデン氏のスキャンダルを好き放題に報道する。その連携が見事なのだ。まじめでオーソドックスなブレット・バイアー、切り口鋭いタッカー・カールソン、トランプ氏の“盟友”ショーン・ハニティ、そして、理路整然とした女性アンカーのローラ・イングラムらが、バイデン氏と副大統領候補のハリス氏に違った角度から集中砲火を浴びせるのである。夕方から深夜までトータル6時間である。
これを迎え撃つのが、リベラル寄りのCNNとMSNBCだが、FOXのような戦う軍団ではない。ジャーナリズムの良識と品格を守ろうとしているのかもしれないが、迫力に欠け、FOXの各キャスターのようなエンターテインメント性に乏しい。
そしてもう一点、首をかしげざるを得ないのが、ここまで差が詰まって追いつかれそうになっているのに、バイデン氏が今週、激戦州に行くのではなく地元のデラウェア州に帰ってしまったことである。危機マネジメントができていない。やはり選挙参謀に問題がありそうだ。
最後の最後で、トランプ氏とバイデン氏の戦いは混沌としてきた。