「アイドルとして作っていたキャラから解放されて、いまはよくしゃべるようになりましたね」

山田:でもガムシロップのように、「注いだら、ゆっくりと全体の味を変えられるようにはなりたい」って以前、おっしゃっていましたよ。
稲垣:そうだったね。本当はベートーヴェンみたいな“こってり感”に憧れがあるのかもしれません(笑い)。

 とにかく再々演の実現に至るまでは、演出の白井晃さん、脚本の中島かずきさん、音楽監督の三宅純さんをはじめ、スタッフの皆さんの熱い想いがあった。ぼくもそうですが、『No.9』を「続けていきたい」というのはキャスト一人ひとりの希望でもあったので、最低でも56才まで、そう、“(語呂合わせで)ゴローの年”くらいまではやりたいな。

山田:そんなことはおっしゃらず、ずっとライフワークとして続けていただきたいです。私もそうですが、吾郎サンのファンの皆さんは、まるでプライベートを覗き見させてもらっているようなミュージカル『恋と音楽』シリーズを愛してやまない一方で、ベートーヴェンが吾郎サンに降臨し、憑依する『No.9』は誇らしい想いで拝見しているので。
稲垣:『恋と音楽』はファンサービスのような親近感がわくような内容。『No.9』は重厚な額縁がついちゃってるカンジだよね。アイドルだったぼくがベートーヴェンを演じるなんて、とても想像できなかったけれど。
山田:今回の再々演は、私、剛力彩芽サン(28)のインスタで知ったんですよ。吾郎サンとのツーショットと共に「やっとご報告できる」と。
稲垣:そうなの? 剛力サンには再びヒロインのマリアを演じていただきます。負けん気の強さとかボーイッシュなところがマリアそのものだと思わない? 大人になってからは“聖母”のような包容力と、実年齢より大人びた女性としての厚みが感じられるんだけど、剛力サンもこの2年でいろいろ経験されて女性として変わったでしょうから、そこも楽しみ。

 ぼくは、自分が女性だったら……という発想を常にもっていて、「渋谷のマダム」とか言ってるのはファンの皆さんは知っていてくださるんだけど、女優だったらマリアの役はやってみたいと思いますよ。それくらい魅力的で、やり甲斐がある役ですからね。

山田:役といえば、草なぎ剛クン(46)主演の映画『ミッドナイトスワン』も、吾郎サンが「レッツ大納言」役で出ている香取慎吾クン(43)主演の『誰かが、見ている』(Amazon Prime Video)も本当に素晴らしくて……、吾郎サン含め、「すごい俳優さんなんだ」と改めて感じているところです。3人で久しぶりにゴハンを食べたそうですね。
稲垣:2人とも、俳優として、どんどん得体が知れなくなっているというか、掴みどころがなくなってるよね。本番の集中力と、どんどん新しいことにチャレンジするところがものすごい。

『ミッドナイトスワン』は、「どこかで見たことがある草なぎ剛」ではまったくなかった。彼はコントでも女装をするのは得意じゃないと聞いていたから大きな決断だったと思うんだよね。『誰かが、見ている』も、「慎吾チャンよね」ってカンジではない新しさがあった。とにかく瞬発力とスイッチの切り替えがハンパない。常日頃からコミカルなことを考えてる人でもないのに、センスがあるんだよね。

 草なぎクンは「代表作」って言ってたじゃないですか、自分で(笑い)。香取クンも三谷幸喜さんと長年培ってきた信頼感の賜物という気がします。2人とも、やっぱり好きなんだよね。すっごく昔、「スマスマ」(フジテレビ系『SMAP×SMAP』)だったと思うけど、「どの仕事がいちばん好き?」という問いに5人で目をつむって挙手するコーナーがあってね。ほぼ全員が「俳優」で手を挙げたの。

 当時は少し意外に感じる結果だったんだけれど、いまは納得できる。すごく刺激になるし、2人の存在そのものを意識しています。

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