国際情報

“味方”のFOXにいち早く「落選」報じられてトランプ激怒

トランプ氏は法廷闘争も辞さない構え(AFP=時事)

トランプ氏は法廷闘争も辞さない構え(AFP=時事)

 アメリカ大統領選挙は、投票締め切りから30時間ほど経った本稿執筆現在も、6州で当確が出ておらず、トランプ、バイデン両候補とも勝利に必要な選挙人獲得には至っていない。双方から法廷闘争の声も聞かれ、結果が確定するまでしばらく時間を要しそうだ。その泥沼の大接戦のなかで、ニューヨーク在住ジャーナリスト・佐藤則男氏は、選挙当日深夜に起きた“ある事件”に驚いた。

 * * *
 当然のことながら、大統領選挙の開票速報特番はアメリカでは高い視聴率を誇る。各局とも司会者やゲストの人選、様々な分析や伝わりやすいビジュアルなど工夫を凝らしてこの日に備えてきた。なにしろ、筆者がお世話になっている、ポーランド移民で英語があまり得意ではないクリーニング・レディまでが、深夜まで釘付けで見ていたと眠そうな目で言うのだから、テレビ局にしてみれば4年に一度の高視聴率が約束された人気番組なのである。力が入るのも当然だ。それにしても、アメリカでは彼女のような労働者階級の女性の政治意識が非常に高い。日本ではどうなのだろう。こういう庶民の感覚や力が政治を動かすことは、民主主義にとって大事な要素ではないだろうか。

 筆者は今回、これまであまり開票速報を見たことがなかったFOXニュースをじっくり見ることに決めた。トランプ・チャンネルとも揶揄される同局は、選挙直前まで徹底してトランプ支持の姿勢を貫き、バイデン氏と民主党を叩いてきた。選挙特番は午後4時から始まった。投票が終わるのが午後8時だから、前座が長い。投票当日とあって、あからさまなトランプ支持というわけではなかったが、事前調査で劣勢が伝えられていたトランプ氏に遠慮があるのか、選挙とは関係ないトランプ氏へのごますりのようなコメントが多い。ここまでは退屈な番組だと思いながら我慢して見ていた。

 午後8時、投票が締め切られると、各州の予測や上下両院議員選挙の情勢など、次々と見通しが発表されて活気づく。これは日本の選挙特番と同じである。しかし、各局見比べても、いずれも結果の予測は慎重だった。それだけ接戦なのだと視聴者にも伝わる。FOXもトランプ氏が勝つとも負けるとも言わないし、CNNも同時に見ていたが、こちらもはっきりした予測は口にしない。

 ところが、筆者が思わずソファから身を乗り出して見入ったのは、深夜11時半くらいになって、突然、FOXの予測・分析を担当する男性が、「2016年の大統領選挙でトランプ氏が獲得したアリゾナ州が、今回はバイデン氏の勝利になりそうだ」と、具体的な予測を語り始めたのである。大統領選挙で、各州の結果をこんなに早く明言するのは異例である。

関連記事

トピックス

オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン