阪急阪神HDは経営統合で営業収益(売上高に相当)7627億円、営業利益952億円、従業員数2万2800人の巨大グループとなった(2020年3月期)。
別掲図を見てもわかる通り、電鉄、バス、タクシーから百貨店まで、「阪急」と「阪神」が併存する事業領域は多い。
「統合前は熾烈なライバル関係だった。高級派の阪急と庶民派の阪神ではイメージも違うし、管理主義の阪急と放任主義、どんぶり勘定の阪神という企業体質の違いもある。“本当に手を組めるのか”という声は統合時からあった」(同前)
今年6月には阪神球団の藤原オーナーがHDの代表取締役を退任(阪神電鉄会長、球団オーナーは続投)。HDの代表は、阪急出身が角会長と杉山健博・社長、阪神出身は秦雅夫・副社長(阪神電鉄社長)だけになった。
阪急阪神HDが手がける「交通」「百貨店」「旅行」「エンタメ」などは、コロナ禍の影響を大きく受ける。第1四半期(2020年4~6月期)決算では営業収益が前年同期比40.5%減の1112億円、営業損益も132億円の赤字に陥った。
阪急・阪神の垣根を越えて全社一丸となり、危機を乗り切る必要がある。“ナニワの大統合劇”から14年。真価が問われる。
※週刊ポスト2020年11月20日号