「定年後は給料は減ってもいいから週3日勤務でプライベートを充実させたい」と、自分のライフスタイルを重視して非正規の嘱託社員を選んだ人はコロナ前は“勝ち組”とうらやましがられていたが、今やその立場はリスクが大きくなった。社会保険労務士の桐生英美氏が語る。
「定年後に同じ会社やグループ会社で再雇用された場合は、たとえ嘱託社員など非正規雇用であっても、本人が希望すれば事業主は原則65歳まで雇用継続しなければなりません。しかし定年後、嘱託社員など有期契約で別会社に再就職したケースは、契約期間満了で雇い止めになってもまず抵抗できないでしょう。短時間勤務でプライベートを重視するなら、なおさら今まで働いた会社で再雇用されるのが法的には労働者の権利が一番強いと考えてください」
政府は新型コロナウイルスの感染防止のために国民に「新しい生活様式」の実践を訴えているが、コロナ後は「働き方」の選択にあたっても従来の常識や発想を転換しなければ、あっという間に負け組に転落してしまうのだ。
※週刊ポスト2020年11月27日・12月4日号