ライブでは全力コントも披露
今でこそ楽器を華麗に演奏するのもDISH//の持ち味のひとつだが、デビュー当時はエアーバンド形式でパフォーマンスを行なっていた。いちから楽器演奏を習得する苦労とは、どれほどのものだっただろうか。
「イケメン4人衆ながら、実は苦労人。どこか時流と歯車が組み合わず、ブレイク寸前で足踏みを続けた時期は決して短くありません。その悔しさ、ネガティブな面を無理に隠さず、ある時は泥臭い姿を見せながら立ち向かって今がある。最年長の橘さんは25歳、他はみな20代前半と若いですが、バンド結成から間もなく10年。結成当初はエアーバンドと揶揄されながらも、懸命に練習を重ね武道館に立つまでになりました。そんな苦楽を共にしたメンバーが突然脱退するなど、何度も憂き目に遭ってきました。時には泣きながらも前進し続けた結果、唯一無二のダンスロックバンドという肩書を手に入れたのがDISH//です」(橘川氏)
メンバー自身が作詞作曲をするまでに成長を遂げたDISH//。そのアーティスト性への期待について、橘川氏が続ける。
「あいみょんが手がけた『猫』をはじめ、楽曲の良さもDISH//の大いなる魅力。OKAMOTO’Sやマカロニえんぴつなど、才能豊かなアーティストが楽曲をこぞって提供しています。その一方で、メンバー自らが楽曲制作を行うなど、アーティスト性はどんどん高まっています。
にもかかわらず、一貫してかっこつけすぎない。矢部さんは一発ギャグで失笑を買う強心臓の持ち主ですし、泉さんはメンバーからいじられる愛されキャラ。ライブでは4人が全力でコントすることもしばしばで、ギャップにハマる人は少なくないようです。個々の能力を高め、深めながら、ロックバンドとしても4人の連帯感をますます強くしているDISH//。多様性が求められる今の時代が、彼らにようやくマッチしたのかもしれません」(橘川氏)
なお、『第71回NHK紅白歌合戦』への出場は逃したDISH//だが、『第62回 輝く!日本レコード大賞』(TBS系)の優秀作品賞にはノミネートされている。大晦日の大舞台をきっかけに、気持ちよく2021年のスタートを切ることができるか。
◆取材・文/原田イチボ(HEW)