ライフ

ちひろ美術館を訪れた壇蜜 「童心に返れる貴重な空間です」

図書室には国内外の絵本約3000冊や、子供の幸せや平和に関する本などが並ぶ(明治学院大学教授の山下裕二氏と壇蜜)

図書室には国内外の絵本約3000冊や、子供の幸せや平和に関する本などが並ぶ(明治学院大学教授の山下裕二氏と壇蜜)

 美術史家で明治学院大学教授の山下裕二氏とタレントの壇蜜。日本美術応援団の2人が、日本の美術館や博物館の常設展を巡る。今回は、東京都練馬区の「ちひろ美術館」を訪れ、その収蔵品や展示について語った。

壇蜜:わぁ、懐かしい絵本がいっぱい! 私の母は保育士をしていて、母が敬愛するいわさきちひろさんが手がけた絵本はいつも家にあって読んでもらっていたんです。この『あかちゃんの くるひ』をめくりながらいつか私もお姉ちゃんになる日がくるのかな、なんて想像したりしていたなぁ。

山下:絵本美術館であるちひろ美術館・東京では、館内の図書室でいつでもちひろの絵本に触れることができます。机や椅子、展示室で作品を壁にかける位置なども子供に合わせて低めにしてあり、小さな子供でも安心して楽しめますね。

壇蜜:人生初のちひろ作品は『おふろでちゃぷちゃぷ』で、3~4歳の記憶です。あひるがトコトコお風呂へ向かう姿がたまらなく愛らしく、楽しそうで、ちひろさんの絵のおかげでお風呂が好きな子供でした。その『タオルを持つあひる』の絵を展示室の「子どもの心を見つめて いわさきちひろ展」(来年1月末まで)で見つけ、喜びのあまり駆け寄ってしまいました。

山下:こんな時代が自分にもあったと、童心に返れる貴重な空間です。若い頃はひとりで、結婚して親子で、孫を連れ3世代でと、人生の折々に訪れるファンが多い美術館でもあります。

壇蜜:ちひろさんの作品は時代を超えて人々に寄り添い、触れるたびに新鮮な感動をくれる。慣れ親しんだ絵本も、今こうして開くと幼かった頃とはまた違う発見や楽しみがありました。

【プロフィール】
山下裕二(やました・ゆうじ)/1958年生まれ。明治学院大学教授。美術史家。『日本美術全集』(全20巻、小学館刊)監修を務める、日本美術応援団団長。

壇蜜(だん・みつ)/1980年生まれ。タレント。執筆、芝居、バラエティほか幅広く活躍。近著に『三十路女は分が悪い』(中央公論新社刊、12月9日発売)。

●ちひろ美術館・東京
【開館時間】10時~17時(最終入館16時30分)※当面の間16時閉館、最終入館15時30分に短縮
【休館日】月曜(祝日の場合は翌日/GWと8月10~20日は無休)、年末年始(1月2日から開館)、冬期休館・臨時休館あり
【入館料】一般1000円
【住所】東京都練馬区下石神井4-7-2

撮影/太田真三 取材・文/渡部美也 衣裳/Wild Lily

※週刊ポスト2020年12月25日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

10月に公然わいせつ罪で逮捕された草間リチャード敬太被告
《グループ脱退を発表》「Aぇ! group」草間リチャード敬太、逮捕直前に見せていた「マスク姿での奇行」 公然わいせつで略式起訴【マスク姿で周囲を徘徊】
NEWSポストセブン
65歳ストーカー女性からの被害状況を明かした中村敬斗(時事通信フォト)
《恐怖の粘着メッセージ》中村敬斗選手(25)へのつきまといで65歳の女が逮捕 容疑者がインスタ投稿していた「愛の言葉」 SNS時代の深刻なストーカー被害
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
「はい!お付き合いしています」水上恒司(26)が“秒速回答、背景にあった恋愛哲学「ごまかすのは相手に失礼」
NEWSポストセブン
三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《梨園に誕生する元アイドルの嫁姑》三田寛子と能條愛未の関係はうまくいくか? 乃木坂46時代の経験も強み、義母に素直に甘えられるかがカギに
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(クマの画像はサンプルです/2023年秋田県でクマに襲われ負傷した男性)
ヒグマが自動車事故と同等の力で夫の皮膚や体内組織を損傷…60代夫婦が「熊の通り道」で直面した“衝撃の恐怖体験”《2000年代に発生したクマ被害》
NEWSポストセブン
対談を行った歌人の俵万智さんと動物言語学者の鈴木俊貴さん
歌人・俵万智さんと「鳥の言葉がわかる」鈴木俊貴さんが送る令和の子どもたちへメッセージ「体験を言葉で振り返る時間こそが人間のいとなみ」【特別対談】
NEWSポストセブン
大谷翔平選手、妻・真美子さんの“デコピンコーデ”が話題に(Xより)
《大谷選手の隣で“控えめ”スマイル》真美子さん、MVP受賞の場で披露の“デコピン色ワンピ”は入手困難品…ブランドが回答「ブティックにも一般のお客様から問い合わせを頂いています」
NEWSポストセブン
佳子さまの“ショッキングピンク”のドレスが話題に(時事通信フォト)
《5万円超の“蛍光ピンク服”》佳子さまがお召しになった“推しブランド”…過去にもロイヤルブルーの “イロチ”ドレス、ブラジル訪問では「カメリアワンピース」が話題に
NEWSポストセブン
「横浜アンパンマンこどもミュージアム」でパパ同士のケンカが拡散された(目撃者提供)
《フル動画入手》アンパンマンショー“パパ同士のケンカ”のきっかけは戦慄の頭突き…目撃者が語る 施設側は「今後もスタッフ一丸となって対応」
NEWSポストセブン
大谷翔平を支え続けた真美子さん
《大谷翔平よりもスゴイ?》真美子さんの完璧“MVP妻”伝説「奥様会へのお土産は1万5000円のケーキ」「パレードでスポンサー企業のペットボトル」…“夫婦でCM共演”への期待も
週刊ポスト
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「普段はそういったことはしない人」中国外交官の“両手ポケットイン”動画が拡散、日本側に「頭下げ」疑惑…中国側の“パフォーマンス”との見方も
NEWSポストセブン