国際情報

北朝鮮が「自粛」解除? 再び日本上空通過のミサイル発射か

平壌の軍事パレードに登場した北朝鮮の新型大陸間弾道ミサイル(AFP=時事通信フォト)

平壌の軍事パレードに登場した北朝鮮の新型大陸間弾道ミサイル(AFP=時事通信フォト)

 次期米国大統領への就任が固まったバイデン氏。バイデン政権の課題のひとつは、首脳会談実現でも進展させられなかった北朝鮮の核・弾道ミサイル開発の抑止だ。金正恩朝鮮労働党委員長は早くもバイデン氏を名指しで「老いぼれの狂人」などとこき下ろして牽制しているが、再び弾道ミサイル発射を繰り返す懸念も高まっている。ジャーナリストの宮田敦司氏が緊迫する米朝関係と日本への影響についてレポートする。

 * * *
 バイデン政権は北朝鮮に強硬な姿勢で臨むとの見方が大勢だ。バイデン氏自身も以前から金正恩を「虐殺者」「暴君」などと強く非難してきた。これに対して、北朝鮮側もバイデン氏を「狂犬」「痴呆末期」と罵倒して応酬している。

 バイデン政権で国務長官となるブリンケン氏も、金正恩を「世界最悪の暴君の1人」「北朝鮮を交渉のテーブルに出てこさせるために真の経済圧力に臨まなければならない」と述べている。

 このような強硬姿勢のバイデン政権に対して北朝鮮が取り得る道は、メディアを通じて米国を威嚇しながらバイデン政権の出方を時間をかけて慎重に見極めるか、あるいはバイデン氏をけん制するために先制パンチを浴びせるかの二者択一となるだろう。

 先制パンチとは、トランプ大統領在任中である2017年9月15日を最後に、日本列島を飛び越えるような長距離を飛翔する弾道ミサイルの発射実験は控えていたが、これを再開するのだ。

米国、ロシア、中国も発射実験を行っている

 ミサイルの発射実験は新型ミサイルを開発した場合や訓練のために必要になるため、近年は米国、ロシア、中国も相次いで弾道ミサイルの発射実験を行っている(以下)。そのため、北朝鮮も「当然の権利」として、これまで以上に長い飛翔距離の発射実験を行う正当性を強調するだろう。

【米国】
 2020年9月2日、核弾頭を搭載可能な大陸間弾道ミサイル(ICBM)「ミニットマン3」の発射実験を行った。カリフォルニア州のバンデンバーグ空軍基地から発射され、約6800km離れた太平洋・マーシャル諸島のクエゼリン環礁に着弾した。

【ロシア】
 2020年12月12日、太平洋艦隊に所属する原子力潜水艦がオホーツク海から4発の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「ブラバ」の発射実験を行い、北部アルハンゲリスク州の演習場に着弾させた。ブラバは射程8000~9000キロで、米国のミサイル防衛(MD)網の突破が可能とされている。

【中国】
 2019年12月に米全土を射程に収める新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「巨浪(JL)3」の発射実験を行った。米国の偵察衛星などが、JL3が渤海からゴビ砂漠に向けて発射されたことを確認した。米国防総省は中国が過去2年間に、今回も含めて少なくとも4回実験を実施したとみている。

 このように、毎年のようにICBMやSLBMの発射実験は行われている。しかし、これらの国は他国の上空を通過するような実験は行っていない。これが北朝鮮との大きな違いだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

遺体には電気ショックによる骨折、擦り傷などもみられた(Instagramより現在は削除済み)
《ロシア勾留中に死亡》「脳や眼球が摘出されていた」「電気ショックの火傷も…」行方不明のウクライナ女性記者(27)、返還された遺体に“激しい拷問の痕”
NEWSポストセブン
当時のスイカ頭とテンテン(c)「幽幻道士&来来!キョンシーズ コンプリートBDーBOX」発売:アット エンタテインメント
《“テンテン”のイメージが強すぎて…》キョンシー映画『幽幻道士』で一世風靡した天才子役の苦悩、女優復帰に立ちはだかった“かつての自分”と決別した理由「テンテン改名に未練はありません」
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
《ヤクザの“ドン”の葬儀》六代目山口組・司忍組長や「分裂抗争キーマン」ら大物ヤクザが稲川会・清田総裁の弔問に…「暴対法下の組葬のリアル」
NEWSポストセブン
1970~1990年代にかけてワイドショーで活躍した東海林さんは、御年90歳
《主人じゃなかったら“リポーターの東海林のり子”はいなかった》7年前に看取った夫「定年後に患ったアルコール依存症の闘病生活」子どものお弁当作りや家事を支えてくれて
NEWSポストセブン
テンテン(c)「幽幻道士&来来!キョンシーズ コンプリートBDーBOX」発売:アット エンタテインメント
《キョンシーブーム『幽幻道士』美少女子役テンテンの現在》7歳で挑んだ「チビクロとのキスシーン」の本音、キョンシーの“棺”が寝床だった過酷撮影
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKIが結婚することがわかった
女優・趣里の結婚相手は“結婚詐欺疑惑”BE:FIRST三山凌輝、父の水谷豊が娘に求める「恋愛のかたち」
NEWSポストセブン
タレントで医師の西川史子。SNSは1年3ヶ月間更新されていない(写真は2009年)
《脳出血で活動休止中・西川史子の現在》昨年末に「1億円マンション売却」、勤務先クリニックは休職、SNS投稿はストップ…復帰を目指して万全の体制でリハビリ
NEWSポストセブン
中川翔子インスタグラム@shoko55mmtsより。4月に行われた「フレンズ・オブ・ディズニー・コンサート2025」には10周年を皆勤賞で参加し、ラプンツェルの『自由への扉』など歌った。
【速報・中川翔子が独立&妊娠発表】 “レベル40”のバースデーライブ直前で発表となった理由
NEWSポストセブン
奈良公園で盗撮したのではないかと問題視されている写真(左)と、盗撮トラブルで“写真撮影禁止”を決断したある有名神社(左・SNSより、右・公式SNSより)
《観光地で相次ぐ“盗撮”問題》奈良・シカの次は大阪・今宮戎神社 “福娘盗撮トラブル”に苦渋の「敷地内で人物の撮影一切禁止」を決断 神社側は「ご奉仕行為の妨げとなる」
NEWSポストセブン
“凡ちゃん”こと大木凡人(ぼんど)さんにインタビュー
「仕事から帰ると家が空っぽに…」大木凡人さんが明かした13歳年下妻との“熟年離婚、部屋に残されていた1通の“手紙”
NEWSポストセブン
太田基裕に恋人が発覚(左:SNSより)
人気2.5次元俳優・太田基裕(38)が元国民的アイドルと“真剣同棲愛”「2人は絶妙な距離を空けて歩いていました」《プロアイドルならではの隠密デート》
NEWSポストセブン
『ザ・ノンフィクション』に出演し話題となった古着店オーナー・あいりさん
《“美女すぎる”でバズった下北沢の女子大生社長(20)》「お金、好きです」上京1年目で両親から借金して起業『ザ・ノンフィクション』に出演して「印象悪いよ」と言われたワケ
NEWSポストセブン