E231系山手線。引退後は色を変えて中央・総武線に(早稲田大学鉄道研究会)
【6位】新型コロナウイルスの影響
新型コロナウイルスの流行により鉄道各社の旅客輸送量は著しく減少、JR東日本は初の赤字決算となるなど、経営状況にも暗い影を落とした。一方、需要喚起策として限定のおトクな割引きっぷが各所で販売された。
【5位】JR山手線「E231系」引退
今年1月、およそ4年を要した車両の世代交代が完了し、山手線の列車はすべて新型車両で統一された。ちなみに、山手線を離れたE231系は車体の色を緑から黄色に変えて、活躍の場を中央・総武線に移している。
【4位】東海道新幹線「700系」引退
東海道新幹線700系。20年以上活躍した(早稲田大学鉄道研究会)
もうひとつ、車両の引退が注目された。多くの鉄道ファンが幼い頃から憧れてきた新幹線。1999年デビューの700系は、大学生の世代(20歳前後)にとっては最も馴染みのある新幹線車両といえる。しかし、車両の老朽化を理由に今年3月をもって東海道新幹線から引退。もう東京駅でその姿を見られないと思うと、時の流れを感じずにはいられなかった。
【3位】JR西日本「WEST EXPRESS 銀河」デビュー
今年も数多くの新しい列車がデビューしたが、なかでも飛び抜けて鉄研会員の注目を集めたのは、9月に運行を開始したJR西日本の観光列車「WEST EXPRESS 銀河」だ。近年、JR各社がこぞって走らせている「クルージングトレイン」の一種だが、(大学生でも手の届く)リーズナブルな価格設定と、古き良き寝台列車・夜行列車の気分を味わえるという点で一線を画している。「乗ってみたい」という会員も多数。
【2位】JR山手線「高輪ゲートウェイ駅」開業
駅舎は建築家・隈研吾氏による(早稲田大学鉄道研究会)
常磐線全通と同日に開業した、山手線の49年ぶりの新駅「高輪ゲートウェイ」。開業前から斬新なネーミングが話題となっていた。これから駅周辺の都市開発が本格的に進められるとのことで、今後が楽しみである。
【1位】JR常磐線、9年ぶりの全線開通
9年ぶりの全線開通で品川〜仙台間の常磐線特急も復活(早稲田大学鉄道研究会)
早大鉄研が選ぶ「2020年鉄道10大ニュース」、1位に輝いたのは、東日本震災以来9年ぶりとなるJR常磐線の全線開通であった。3月14日の全通とともに、東京の品川駅から仙台駅まで常磐線経由で直通する特急「ひたち・ときわ」も運転を再開。都心のターミナル駅から、通勤電車に混ざって東北地方に向かう特急列車が発着する光景は、見るたびに旅情がかきたてられる。
以上、早大鉄研が選んだ「2020鉄道10大ニュース」を紹介した。2021年は新型コロナウイルスが無事に収束し、さらに明るい鉄道ニュースが増えることを祈りたい。
◆取材・文/早稲田大学鉄道研究会・会誌『SWITCHER』編集部