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チワワが諸費込みで60万円 コロナで高騰するペット生体販売の闇

かつてほどではないが今も人気犬種のチワワ(イメージ)

かつてほどではないが今も人気犬種のチワワ(イメージ)

 ペットブームと言われてしばらく経つが、2020年はそれが加速した年でもあった。新型コロナウイルスの感染拡大で自粛生活を強いられ、癒やしを求めて新たにペットを家族に迎えた人が急増したからだ。俳人で著作家の日野百草氏がクリスマス商戦真っ只中、郊外の大型ペットショップでよく見られる、購入検討の景色をレポートする。

 * * *
「60万円は高いな、これつけなきゃだめなの?」

 クリスマスの飾り付けも華やかな店内、初老の男性が小声で店員の男に耳打ちする。店員が甲高い声で再度説明を始めたそばで、大柄な男性がチワワを抱いている。そばで中年女性がチワワの小さな頭をなでている。茶髪の若い女性が彼らに向かってお父さん、お母さんと呼ぶ様子から、彼らが家族であることが確認できた。初老の男性と中年女性がご両親、茶髪が娘さんだとすると、大柄な男性は彼女の旦那さんか何かだろうか。

「条件次第では安くなりますよ」

 店員の甲高い営業トークはさらに甲高くなり必死さが伝わってくる。ここは関東のペットショップ、なぜかこの近隣はショッピングモールやホームセンターのペットショップが乱立している。詳しく書けばすぐ分かる場所だが、筆者はペットビジネス関連のルポに関してはとくに慎重にならざるを得ない。信じてもらえなくて構わないがすぐ訴えてくるし、はっきり言って怖い人も多い。だから誰もルポルタージュなんか手がけないし、やってもすぐやめる。

「お迎えするんですか?」

 店員と離れたところでショーケースごしに猫を見ていた茶髪の娘さんに話しかけてみる。30代くらいだろうか。

「私じゃないです。そこの兄です。仕事決まったんでプレゼントです」

 なんと旦那さんと思っていたがお兄さんだったのか。それにしても娘さんの笑みには含むところがあるようだ。それはおめでとうございますと筆者が言うと、

「ちょっとバイト決まっただけですよ、それで犬ってふざけてるし」

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