なかでも韓国の国民を不安にさせているのがワクチン確保の遅れだ。日本政府は、すでにファイザー、モデルナ、アストラゼネカなどと供給に関する合意を結び、全国民分のワクチンを確保できる見通しだが、韓国は諸国に比べて対応が遅れた。12月初めに政府は「4400万人分を確保する計画」を発表したが、交渉中の契約がまとまったとしても、供給は多くが2021年3月以降になる見通しだ。それまでワクチンなしで医療崩壊の恐怖におびえながらのコロナ対策が続くことになる。
元朝日新聞ソウル特派員でジャーナリストの前川惠司氏は、文政権の対応を厳しく批判する。
「たとえ初期段階で感染対策がうまくいったとしても、ワクチンはいずれ必要になるものだから確保を急いでおけばよかった。6月頃から、冬になったらコロナが蔓延すると予測されていたのだから、その時に対応しておくべきだった。私は、文政権は予算を惜しんだのだと思っています。中国のワクチンが開発されれば安くすむと考えて様子見していたのでしょう。お金の問題もあったし、文政権は中国にすり寄る姿勢なので、そうした政治的な思惑も影響したかもしれません」
韓国では、ワクチン確保に関して日本と比較する報道が多い。両国とも、欧米に比べるとワクチン接種の計画は遅くなる一方、感染拡大は欧米ほどひどくない点で一致する。もともと日韓を比較することが好きな国民性もあり、日本で2021年1月から臨床試験が始まるといった報道が韓国で広くなされて、文政権への批判がますます高まっている。
もちろん韓国で感染爆発が起きれば日本にも影響する。文政権が一敗地にまみれた「K防疫」を立て直すことを期待したい。