国内

コロナで死去の羽田雄一郎議員 検査早ければ助かった可能性も

(共同通信社)

平熱から急逝した羽田氏。衝撃は大きい(共同通信社)

 立憲民主党の羽田雄一郎・参議院議員が2020年12月27日、新型コロナウイルス感染症で亡くなった。53才だった。

 異変が起きたのは12月24日のこと。羽田氏は、知人が新型コロナウイルスに感染したことを受けて、参議院診療所でPCR検査を受けたいと申し出たものの、無症状のため断られた。その後、かかりつけ医で27日に検査を受けることとなったが、風邪のような症状が出始め、深夜には38.6℃の熱が出たという。

 25日は、予定していた長野県飯田市での会合を欠席。いったん平熱まで下がったが、深夜になると38℃台になり、翌日も微熱が続いた。26日は妻の誕生日で、東京の自宅で家族そろってお祝いをした。

 翌27日の朝には36.1℃と平熱に下がっていたというが、PCR検査を受けるために病院へ向かっていた車内で、容体が急変した。その場で意識を失い、病院に到着した頃には心肺停止の状態で、16時半に死亡が確認された。

 酒やたばこは一切やらないという羽田氏だったが、甘いものがすきで大食漢だったという。また、糖尿病。高血圧という基礎疾患を持っていた。昭和大学客員教授で感染症が専門の二木芳人さんが、解説する。

「50代になると、羽田議員の場合もそうですが、高脂血症、高血圧、糖尿病といった、いわゆる生活習慣病を抱える人が増え始めます。それぞれ、あまり重症ではないけれど、異変が出てくる年代なんですね。これらの病気は、自覚症状が少ないので、ケアを怠ってしまい、症状への意識が薄くなりがちです」

 そうした生活習慣病を抱えている人は、血管が詰まる「血栓症」を起こしやすいという。

「新型コロナも血栓症を引き起こすので、生活習慣病を持つ人が新型コロナに罹ると、血栓症のリスクが“ダブル”になり、重症化も招きやすい。血栓症は心筋梗塞や脳梗塞などを起こし、死に至る原因となります。新型コロナは、50代くらいの生活習慣病を持つ人の弱点をピンポイントで攻撃するといえるでしょう」(前出・二木さん)

 血栓症によって死に至る過程では、「サイトカインストーム(免疫暴走)」が体内で起こっていると解説するのは、新中野耳鼻咽喉科クリニック院長の陣内賢さんだ。

「サイトカインストームとは、免疫システムが過剰反応する現象のことです。ウイルスに感染すると体内の免疫システムがウイルスを撃退しようとしますが、その際に過剰な攻撃をすることで、正常な生体活動も妨げられて、熱や痛みが生じるのです。新型コロナでは、血管でのサイトカインストームで血栓症が起こりやすくなるという症例報告もあります」

 厚生労働省も、新型コロナウイルスに感染して人工呼吸器や人工肺(エクモ)を使用した重症患者のうち、13.2%が血栓症を発症していたと公表している。

「羽田さんの場合も、ほとんど苦しむことなく急死したことを考えると、新型コロナによって血栓症を起こして脳の血管が詰まったことによる脳梗塞が死因だと考えられ、サイトカインストームの関与も否定できません。一日でも早く検査ができ、入院できていれば助かっていた可能性はあります」(前出・陣内さん)

関連キーワード

関連記事

トピックス

割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
3年前に離婚していた穴井夕子とプロゴルァーの横田真一選手(Instagram/時事通信フォト)
《ゴルフ・横田真一プロと2年前に離婚》穴井夕子が明かしていた「夫婦ゲンカ中の夫への不満」と“家庭内別居”
NEWSポストセブン
二刀流かDHか、先発かリリーフか?
【大谷翔平のWBCでの“起用法”どれが正解か?】安全策なら「日本ラウンド出場せず、決勝ラウンドのみDHで出場」、WBCが「オープン戦での調整登板の代わり」になる可能性も
週刊ポスト
高市首相の発言で中国がエスカレート(時事通信フォト)
【中国軍機がレーダー照射も】高市発言で中国がエスカレート アメリカのスタンスは? 「曖昧戦略は終焉」「日米台で連携強化」の指摘も
NEWSポストセブン
テレビ復帰は困難との見方も強い国分太一(時事通信フォト)
元TOKIO・国分太一、地上波復帰は困難でもキャンプ趣味を活かしてYouTubeで復帰するシナリオも 「参戦すればキャンプYouTuberの人気の構図が一変する可能性」
週刊ポスト
世代交代へ(元横綱・大乃国)
《熾烈な相撲協会理事選》元横綱・大乃国の芝田山親方が勇退で八角理事長“一強体制”へ 2年先を見据えた次期理事長をめぐる争いも激化へ
週刊ポスト
2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン