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現役トラックマンが競馬新聞に打つ印をデータ分析 見えてきた傾向

エージェントが競馬新聞に打つ印をどう活用するか

エージェントが競馬新聞に打つ印をどう活用するか

 誰もが夢見るものの、なかなか現実にならない“夢の馬券生活”。競馬を題材とした作品も手掛け、「JRA重賞年鑑」にも毎年執筆する作家・須藤靖貴氏が、陣営(馬主さん、厩舎、生産牧場)と騎手を仲介するエージェント(騎乗依頼仲介者)に注目。そのエージェントが打つ競馬新聞への印について深堀りする。

 * * *
 エージェントである現役トラックマンのX氏に話を聞いた。前回(週刊ポスト2021年1月1・8日号)に触れた陣営とジョッキーをつなぐ逸話も興味をそそられるわけだが、やはりここはひとつ、馬券検討につながることを知りたい。

 新聞の印である。

 トラックマンは新聞に印を打つ。エージェントは仲介した馬には自信と思い入れと責任もあるはず。他の誰よりもその馬の情報を持っているのだ。当該者の印に注目しない手はないではないか。

 贔屓の引き倒しを避けたい心理も働きそう。◎はどうも打ちづらいとか、複数つけられる△はどこか義理っぽいとか、実は〇や▲こそが「自信アリ」だとか。そんな仮説をぶつけてみた。

 ある日曜日、X氏グループ(G)騎手3名の騎乗馬は20頭。うちX氏が◎を付けたのは6、〇はゼロ、▲は3、△6、無印5だった。先の仮説のような「忖度」はなく、TMとしてレースを鳥瞰予測して印を打つという。◎のうち4頭は上位人気馬だった。

 忖度なしならば、気になるのは無印だ。仲介者自らがダメを押すことになる。「無印も印のうち。このメンバーでは……という判断」。依頼されれば仲介するから、「ちょっと厳しいかな」という場合も当然あるのだった。

 さて、他のエージェント(現役トラックマン)はどんな塩梅か。「仲介馬出走時の、トラックマンの印具合と結果」である。『優馬』の坂倉和智氏G(田辺、小林凌)と櫻井眞人氏G(松山、和田竜、松若)の印と結果を検証した。

 ある土日の中山、田辺騎手の乗り鞍は20。坂倉氏の印は◎7つ、〇は1、▲2、△6、「注」が2つ。◎の結果は1着2回、2着1回、3着2回。〇は5着。▲の2勝が光る。印の信頼度は相当なものである。しかし△は掲示板2回のみ……。「田辺騎手の坂倉氏予想、◎と▲は買い!」とは早計な判断ではあろうか。

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