国内

増殖する「白ナンバーのウーバー配達員」はあまりにも危険だ

街中を走る「ウーバーイーツ」の配達員。ほとんどの配達員が自転車もしくは原付バイクで配達している(イメージ、時事通信フォト)

街中を走る「ウーバーイーツ」の配達員。ほとんどの配達員が自転車もしくは原付バイクで配達している(イメージ、時事通信フォト)

 米ウーバーテクノロジーは日本に本格進出するにあたり、2015年2月に一般ドライバーによる送迎事業のライドシェア(相乗り)の実証実験を福岡市で始めた。しかし、国土交通省から中止するよう指導され、米国とまったく同じ形での展開を諦めた経緯がある。これは、無許可でタクシー業を行う「白タク」行為を禁じた道路運送法に違反する恐れがあるためだ。同社が展開するウーバーイーツでも運送業の許可申請に関わる貨物自動車運送事業法との関係が危ぶまれたが、自転車もしくは原付バイクを使用する配達員ばかりで、サービス開始にあたって監督官庁から特に注意が行われることはなかった。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大によって窮地に陥った人たちのセーフティネットのような存在になっている現在、無届け車両による配達が目につき始めた。俳人で著作家の日野百草氏が、一部の白ナンバー営業に振り回される配達員たちをレポートする。

 * * *
「いや勘弁してよ、あんたに関係ないでしょ」

 都心の繁華街、軽ワゴンの男性は口元を歪ませた。彼の車は白ナンバー。どう見ても自家用だ。

「証拠はあんの? 違うってば」

 筆者はしっかり見届けている。彼がウーバーイーツの配達をして、客のマンションから戻ってきたところを。結局、彼は筆者を無視して車を走らせた。彼の行為は白ナンバー営業、貨物自動車運送事業法違反だ。無許可営業なので「三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金」(第七十条)が科せられる。

 もうひとり、都内路地の一角、これまた軽のミニバンでウーバーイーツを運ぶ若者。

「だめなの?」

 本当に知らないのか聞き返されてしまった。知らないはずがない、若者はあきらかに挑戦的な表情で胸を押さんばかりに凄んでくる。が、すぐ踵を返しタワマンのホールに消えた。

「白ナンですか、バイクは前から、最近は車も見ますね」

 池袋。リクエスト(配達要請)の知らせが鳴らないらしく、店の前で地蔵を決め込む配達員に声をかけるとやはり白ナン、白ナンバーによるウーバーイーツ配達の目撃談があった。これは完全に違法、ウーバージャパンでも即アカウント停止になる重大な違反行為だ。2020年7月30日には広島県で400ccのバイクを使ってウーバーイーツの配達員をしていた男が摘発された。125cc超のバイクで有償配達する場合は国土交通省に届け出が必要で、これがバイク便でよく見る「緑ナンバー」の二輪車である。男の白ナンバー行為は通報で発覚したが、これは律儀にもウーバーイーツのバッグを使っていたからだろう。さすがにウーバージャパンも犯罪行為なので「警察の捜査に全面的に協力している」とコメントしている。そう、マナー以前の問題、犯罪だ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

真美子さんが完走した「母としてのシーズン」
《真美子さんの献身》「愛車で大谷翔平を送迎」奥様会でもお酒を断り…愛娘の子育てと夫のサポートを完遂した「母としての配慮」
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(クマの画像はサンプルです/2023年秋田県でクマに襲われ負傷した男性)
《コォーってすごい声を出して頭をかじってくる》住宅地に出没するツキノワグマの恐怖「顔面を集中的に狙う」「1日6人を無差別に襲撃」熊の“おとなしくて怖がり”説はすでに崩壊
NEWSポストセブン
「原点回帰」しつつある中川安奈・フリーアナ(本人のInstagramより)
《腰を突き出すトレーニング動画も…》中川安奈アナ、原点回帰の“けしからんインスタ投稿”で復活気配、NHK退社後の活躍のカギを握る“ラテン系のオープンなノリ”
NEWSポストセブン
11歳年上の交際相手に殺害されたとされるチャンタール・バダルさん(21)千葉県の工場でアルバイトをしていた
「肌が綺麗で、年齢より若く見える子」ホテルで交際相手の11歳年下ネパール留学生を殺害した浅香真美容疑者(32)は実家住みで夜勤アルバイト「元公務員の父と温厚な母と立派な家」
NEWSポストセブン
今年の”渋ハロ”はどうなるか──
《禁止だよ!迷惑ハロウィーン》有名ラッパー登場、過激コスプレ…昨年は渋谷で「乱痴気トラブル」も “渋ハロ”で起きていた「規制」と「ゆるみ」
NEWSポストセブン
アメリカ・オハイオ州のクリーブランドで5歳の少女が意識不明の状態で発見された(被害者の母親のFacebook /オハイオ州の街並みはサンプルです)
【全米が震撼】「髪の毛を抜かれ、口や陰部に棒を突っ込まれた」5歳の少女の母親が訴えた9歳と10歳の加害者による残虐な犯行、少年司法に対しオンライン署名が広がる
NEWSポストセブン
新恋人A氏と交際していることがわかった安達祐実
《新恋人発覚の安達祐実》沈黙の元夫・井戸田潤、現妻と「19歳娘」で3ショット…卒業式にも参加する“これからの家族の距離感”
NEWSポストセブン
キム・カーダシアン(45)(時事通信フォト)
《カニエ・ウェストの元妻の下着ブランド》直毛、縮れ毛など12種類…“ヘア付きTバックショーツ”を発売し即完売 日本円にして6300円
NEWSポストセブン
レフェリー時代の笹崎さん(共同通信社)
《人喰いグマの襲撃》犠牲となった元プロレスレフェリーの無念 襲ったクマの胃袋には「植物性のものはひとつもなく、人間を食べていたことが確認された」  
女性セブン
大谷と真美子夫人の出勤ルーティンとは
《真美子さんとの出勤ルーティン》大谷翔平が「10万円前後のセレブ向けベビーカー」を押して球場入りする理由【愛娘とともにリラックス】
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(秋田県上小阿仁村の住居で発見されたクマのおぞましい足跡「全自動さじなげ委員会」提供/PIXTA)
「飼い犬もズタズタに」「車に爪あとがベタベタと…」空腹グマがまたも殺人、遺体から浮かび上がった“激しい殺意”と数日前の“事故の前兆”《岩手県・クマ被害》
NEWSポストセブン
「秋の園遊会」でペールブルーを選ばれた皇后雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA)
《洋装スタイルで魅せた》皇后雅子さま、秋の園遊会でペールブルーのセットアップをお召しに 寒色でもくすみカラーで秋らしさを感じさせるコーデ
NEWSポストセブン