ライフ

何度も映像化される『日本沈没』 樋口真嗣監督がその魅力を語る

樋口真嗣氏が『日本沈没』の魅力を語る(写真は1973年の映画『日本沈没』深海潜水艇「わだつみ」セット前にて)

樋口真嗣氏が『日本沈没』の魅力を語る(写真は1973年の映画『日本沈没』深海潜水艇「わだつみ」セット前にて)

 累計400万部超を売り上げた作家・小松左京氏の代表作『日本沈没』は何度も映像化され、今年10月の日曜劇場(TBS系)でもドラマ化の予定だ。2006年版の映画で監督を務めた樋口真嗣氏が、その原作の魅力を語る。

 * * *
 小学校2年生のとき、たまたま親父に連れられて映画館に観に行ったのが『日本沈没』(1973年版)でした。

 それまで映画は楽しいものだと思っていたのに、日本が大地震や津波に襲われ、容赦なく人が亡くなり、街が壊されていく。声高には言えないと思いながらも異常に興奮して、原作を読みました。他の小説と違って情緒が一切なく、地震発生や国鉄の不通などの描写が延々と続く。“神の視点”のような描写に、子どもながらに魅力を感じました。

 高校生になった頃、小松さんが日本のSF作家を集めて、世界と勝負できるSF映画『さよならジュピター』(1984年)を作る、と雑誌で読みました。しかも小松さんが総監督として本気で取り組むと書いてある。それで高校をサボって毎日のように世田谷の撮影所に潜り込みました。その経緯で製作を手伝うようになった。小松さんは雲の上の人で、遠巻きに見るだけで話す機会もありませんでした。でも、この時の経験が、映画の仕事に就くきっかけになりました。

〈小松作品に導かれて映画界に入った樋口氏は、2006年版『日本沈没』で監督を任される。脚本作りの中でくだした決断が「結末の変更」だった。〉

 小説や1973年の映画では、日本はなすすべもなく沈没しました。でもその後、小松さんは小説『さよならジュピター』で、地球に近づくブラックホールに対して人類が全力で対抗する様を描いた。

 人間が向き合わなきゃいけない運命に対して、1973年の『日本沈没』では諦観したけれども、『さよならジュピター』以降の小松さんは、もっと人間にできることがあるという考えに変わったのではないか。そう小松さんに話すと、「映画は君の好きなようにやればいい」と仰っていました。

関連記事

トピックス

NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
カラオケ大会を開催した中条きよし・維新参院議員
中条きよし・維新参院議員 芸能活動引退のはずが「カラオケ大会」で“おひねり営業”の現場
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン