線維化が長引くと呼吸苦や咳などの原因になると考えられ、味覚・嗅覚障害を引き起こす。特に若い世代や女性に多く見られ、この症状が長く続く人たちは精神的に落ち込む人も少なくないという。「Long COVID」の観点からすれば、「治ったからもう安心」「若いから大丈夫」と考えるのは、危険だ。
日本は他国に比べて新型コロナの感染者数が少ないため、大規模な追跡調査はまだ行われていないが、自治体レベルで独自に調査を実施しているケースもある。
和歌山県によると、新型コロナに感染し、退院した県民の約半数が後遺症を訴えている。年代別では最も多かったのが30代で77%、40~60代で半数以上。20代も39%、20才未満でも35%に後遺症があったという。症状では「嗅覚障害」が最多で、続いて「倦怠感」、「味覚障害」と「呼吸困難感」、「頭痛」、「脱毛」の順だった。
新型コロナから回復し、事なきを得たように見える人も、決して楽観はできない。田中の場合も、救急搬送がもう少し遅れていたら、“もしも”のことがあったかもしれないという。
「くも膜下出血は、トンカチで殴られるくらい痛いといいます。深夜2時にもかかわらず、山口さんが救急車をすぐに呼んだのは、田中さんが相当な痛みを訴えたことと、“何か異変があったら躊躇せずに病院へ”と後遺症を気にした医師から事前に指示を受けていたからではないでしょうか」(横山さん)
もし田中がまだ独身生活を続けていたら、深夜ゆえもし山口が田中の異変に気づかずにいたら……。私たちは新型コロナの後遺症が“想像を超える”ものであることを知っておく必要がある。
※女性セブン2021年2月11日号