「自分のことを話そうとすると『お前の話はいいんだよ』とスタッフに言われていた」とこぼしていたのは、テレビ東京を経て、現在もっとも売れているフリー女子アナ、鷲見玲奈。『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)に出演したときの話だ。
いい悪いではなく、確かにこれが局アナの“当たり前”。同じような会話をテレビ局で何度耳にしたことだろうか。自局の看板番組に他局出身の女子アナを起用することがダントツに多いTBSではもっとも多く聞いたような気もする。
しかし、野村アナは“特別”なのである。「能楽師! 狂言方! 和泉流! 二世! 自分で言いづらいだろうから言っておいた」とは安住アナ。在京局男性アナウンサーとしてダントツの人気を誇るも、どこかで客観視できている安住アナは、野村アナの“立場”を理解しながらも、決して特別扱いもしていないと見えた。が、ラジオを始め、他番組での野村アナと絡む他の先輩男子アナの中には、特別ゲストでも来たかのような扱いをしている人もいて、また驚かされる。
番組側が「お父さんにはどのようなチョコを?」
驚くといえば、『ぴったんこ~』の翌日の『まるっと!サタデー』でも、こんなシーンがあった。『サロン・デュ・ショコラ』に出店されるチョコの食リポをしていた野村アナ。「冷蔵庫に常にチョコレートをストックしてある」という割には、“先輩”田中みな実アナほどの“チョコ愛”も、“大先輩”楠田枝里子アナほどの“知識”もなく初々しい内容にとどまった。それはいいのである。VTRのシメ、「最後にスタッフからこんな質問が」とのナレーションが入り「お父さん(野村萬斎さん)には、毎年どのようなチョコをあげてる?」と…。必要だっただろうか、このくだり。なんだか野村アナが気の毒になってしまった。
受けのスタジオには駒田健吾アナと田村真子アナがいたのだが、なぜかVTRのオチをスルー。野村アナの“扱い”は局内でも人それぞれなのかもしれない。
というのも、野村アナ、その前のコーナーでは、森進一と森昌子の三男、Hiroこと森内寛樹にインタビューし、父の教えなどについて聞いていた。が、ここでは「野村家」の話はナシ。二世トークをさせたいなら、ここで出すほうが自然だと思ったものだが。
新人アナウンサーには似つかわしくない“環境”に置かれてしまっている野村アナには、私が見る限り、フロアにいるスタッフのリアクションをうかがいながら進行するクセがある。新人ゆえ、まだ自信がないのかもしれないが、“お父さんネタ”を喜び、重用するスタッフが居る限り、このクセは直りにくいかもしれない。
ラジオと兼営のTBSは、アナウンサーへの指導が他局よりも厳しい。私がアナウンサーの人たちと頻繁に仕事をしていた30年程前、女性アナウンサーには“職人”のような実力をもち、指導力にも優れた人が多かった。宇野淑子さんや遠藤泰子さん、菅原牧子さん、吉川美代子さんらが居たら、野村彩也子アナにどんな言葉をかけたことだろう。
「野村萬斎さんの娘」だけでなく、持ち前の大物感や存在感が、彼女のアナウンス力に好影響を与えることを願ってやまない。とにもかくにも、野村彩也子アナは“大物”なのだから。