俳優・吉沢亮の演技力に太鼓判を押す声は数多い。映画ライターのSYO氏は、吉沢亮のこれまでの出演作を振り返りつつ、その“独自性の高さ”について次のように説明する。
「吉沢亮さんの大きな魅力は、演じるキャラクターの独自性の高さにあります。マンガの実写化以外でも、『レオン』では自販機と対話できる会社員、『猫は抱くもの』では擬人化した猫、『一度死んでみた』では存在感が薄すぎる秘書と、バラエティ豊かな役柄に挑戦してきました。
シリアスな役どころでは、死体を愛する青年を演じた『リバーズ・エッジ』、SNSでの炎上を仕掛ける歪んだ大学生に扮した『青くて痛くて脆い』、事故に遭ったことをきっかけに人が変わっていく人気者役で魅せた『さくら』、プロ棋士への夢を諦めたプログラマーを体現した『AWAKE』等々……。ドラマでも『ぼくは麻理のなか』では引きこもりの青年、『GIVER 復讐の贈与者』では人間らしい感情が欠落した復讐代行業者の役と、陰も陽も、人ではない役ですら自在に演じてきました」
では『青天を衝け』ではどんな活躍が期待できるのだろうか。SYO氏は続ける。
「(バラエティ豊かな役柄に挑戦してきた)吉沢亮さんが、大河ドラマという長期スパンでひとりの役を演じたら、どんな化学反応が起こるのか。『青天を衝け』では、吉沢亮さんの役がどう“変化”していくのかが注目ポイントと言えるかもしれません」
映画や通常のテレビドラマとは異なり、1年という長い期間を通じて放送される大河ドラマでは、作品の中で役者自身の“変化”を追いかけることもできるのが特徴だ。『青天を衝け』がフィナーレを迎える時、俳優・吉沢亮も次のステップへと飛躍している可能性は大いにあると言えるだろう。
◆取材・文/細田成嗣(HEW)